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「久保は何度もしゃくり上げながら…」世界陸上レース直後、久保凛（17歳）の感情がこみあげた“7分間秘話”…テレビ中継には映らなかった「涙の舞台裏」

posted2025/09/19 18:29

text by

矢内由美子Yumiko Yanai

photograph by

Nanae Suzuki

　ミックスゾーンでの7分弱の取材対応の間、久保凛は何度も何度もしゃくり上げながら、それでも目尻に浮かぶ涙をこぼすまいと、必死にこらえているようだった。敗れてなお凛としている17歳がそこにいた。

　陸上世界選手権、女子800メートル予選の3組3レーンに登場した久保は、自身の持つ1分59秒52から3秒以上遅い2分2秒84、最後尾からゴール直前に一人抜く意地を見せたが、7位でフィニッシュした。初めての世界選手権はここで終わった。

　電光掲示板を見上げる表情は悔しげであり、悲しげでもあった。その様子から、力を出せずに終わったレース結果を受け止めるには時間がかかるのではないかと思われた。ホスト局のフラッシュインタビューに向かう時に、階段の手すりをつかみながら上がっていった足取りがかなり重たそうだったのもその理由だ。

　ところが、その見立ては外れていた。久保がミックスゾーンに姿を現したのはゴールしてからわずか10分ほど後だった。

　まずは予選を終えての感想を聞かれると、こう言った。

「初めての世界陸上が東京ということで、始まる前からたくさん応援していただいて、すごく幸せでしたし楽しんで走ることができました。前半から全然うまくいかなくて、ラストまで何もできずに終わってしまったので、もっと強くなって帰ってきたいと思います」

　率直な思いを簡潔な言葉でまとめ、その中に“起承転結”をしっかりと織り込んでいた。

　ただ、ミックスゾーンではフラッシュインタビューの時よりも目元が濡れており、感情がこみ上げていることが伝わった。

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