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「長い休みは必要かもしれないけど…」“まさかの予選敗退”はなぜ起きた? 北口榛花が涙を流して語った思い「中継には映らなかった」世界陸上ウラ側
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byNanae Suzuki
posted2025/09/20 18:35
世界陸上女子やり投げ。北口榛花はまさかの予選敗退となった
「多分、決勝には残れないので…」に続いた言葉
ミックスゾーンに来たのはB組の競技が始まる前だった。その時点で結果は確定していなかったが、北口は開口一番、こう言った。
「多分、決勝には残れないので、悔しい結果になりました。春先からけがが続いたり、精神的にも苦しい部分がたくさんあったりしたんですけど、その度に今年は東京世界陸上があるから練習に戻ろうという気持ちになれて……」
そこまで言うと涙がこみ上げ、しばし言葉に詰まった。だが、これだけは先に言っておきたいというように、「すごく素敵なゴールを、今シーズンの素敵なゴールを作ってくださった皆さんに本当に感謝したいです」と続けた。
じつは抱えていた“ひじの不安”
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6月に右ひじに炎症を起こし、7月の日本選手権を欠場。8月20日のダイヤモンドリーグ(ローザンヌ)で復帰したものの、50メートル93で最下位の10位となり不安を残した。翌週の8月28日にあったダイヤモンドリーグファイナル(チューリヒ)で60メートル72と記録を伸ばし、東京世界陸上に向けて着実に調子を上げてきたことを感じさせたが、やはり間に合わなかった。
右ひじを保護するために巻いていたテープを外して練習できたのが大会直前の最後の投擲練習の時。
「その方が感覚が良かったので今回もテープなしで試合に臨んだんですけど、正直、テープのあるないで、どうなるかは試合になるまで分かりませんでした。だから1投目に60メートル飛んだ時は少しホッとしましたが、全力で投げきる練習(に関して)は、試合から遠い練習ばかりになったのかな」
ひじの負傷そのものについての不安要素は「あまりなかった」というが、実戦感覚が不足していたようだ。
「自分のやりがどれくらい飛んでいくのかが正直想像できないまま練習していたので、そういう不安はありました」

