「WBCでは『ヘタクソ！』と誹謗中傷されて」YouTuberキャッチャーコーチと甲斐拓也“二人の変わり者”の挑戦とは？「日本の捕手は保守的ですから」 

「ふたりの取り組みをどんどん紹介してください」

　一流のプロを教えることは、無名のキャッチャーコーチである緑川さんにしてみれば名前を売る大きなチャンスだった。だが彼はコーチングを始める際、甲斐に「この取り組みは表に出さず、隠しましょう」と言った。

「なんの実績もない草野球YouTuberに教えを乞うなんて、おまえはプライドがないのか。甲斐さんが周りから、そう言われるのが目に見えていたからです」

　ところが、思いもよらない言葉が返ってきた。

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「なんで隠さなきゃいけないんですか？　ぼくは覚悟と自信を持って緑川さんにコーチングをお願いしているんです。それを知られることは、なんの問題もない。ですから、ふたりで取り組むことをどんどんアップしてください。緑川さんがいいと思ったら、取材も遠慮なく受けてください」

　フレーミングという言葉が短期間で急速に世の中に広まったのは、緑川さんとの取り組みを包み隠さず見てもらってかまわないという甲斐の懐の深さあってこそ。甲斐との二人三脚を頻繁にアップすることで、緑川さんの名は広く知られるようになった。そして第1回の記事で触れたように、ホークスのキャッチャー陣を指導するという大きなチャンスをつかむことになる。

日本の捕手は保守的？

　緑川さんは日本のキャッチャーについて、「アメリカに比べると保守的です」と語る。捕手は保守。もちろん言葉遊びではない。

「日本におけるキャッチャーは、必要以上に失点や敗戦の責任を負わされることが多いと思います。そうした不当な扱いを受けているので、新しいことにトライする選手がなかなか出てこないんです」

　アップデイトが進みにくいポジションにもかかわらず、フレーミングが急速に根づきつつあるのはなぜか。その答えがわかった気がした。

　失うもののない球界のアウトサイダー、緑川大陸と、過去の名声にあぐらをかかず、ひたすら歩みを進めようとする甲斐拓也。ふたりの変わり者が必然的に出会ってしまった。ここからキャッチャーの常識は大きく揺らぎ始めたのだ。

〈つづく〉

#3に続く

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#3

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#2

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#1

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