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「イノウエにボコボコに…“ピカソ”は不運な名前かも」英国人記者も期待の井上尚弥“アフマダリエフ後”「その先は…世界中のファンが望むカードだ」 

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一野洋

一野洋Hiroshi Ichino

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2025/09/18 06:03

「イノウエにボコボコに…“ピカソ”は不運な名前かも」英国人記者も期待の井上尚弥“アフマダリエフ後”「その先は…世界中のファンが望むカードだ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

アフマダリエフの動きを止めた井上尚弥のジャブとボディ。結果的に序盤で勝負は決していたと英国記者は分析する

 しかし彼は「倒さないことの難しさ」を受け止めながら、自分を律した。戦略に徹することで「KO以外でも観客を納得させられる」ことを証明したのだ。

 最終ラウンドのゴングが鳴った瞬間、井上の表情には余裕があった。

「自分の感覚的には中盤以降はポイントを取られていないと確信していた。1ラウンドはどうかな……というくらいで、あとは全部取っていてもおかしくないとなんとなく思っていた」

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 実際、公式採点は117–111、118–110、118–110。英サイト『The Standard』も「完全に相手を圧倒した」と表現し、ユナニマスディシジョンの説得力を強調した。

英記者が見たクロフォードと井上尚弥の「比較」

 実は井上戦の数時間前、アメリカではパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキング3位のテレンス・クロフォードが、2階級上のスーパーミドル級4団体統一王者でPFPランキング8位のサウル・“カネロ”・アルバレスと激突していた。(※ランキングは9月14日時点)

 クロフォードはカネロを3-0の判定で下し、無敗での5階級制覇と3階級での4団体王座統一を成し遂げ世界の話題をさらった。

 だが、ファレル氏はこう付け加える。

「クロフォードが今週末に当然のように見出しをさらうだろう。しかしマスターパフォーマンスを見せたPFPスターは彼だけではなかった」

 米スポーツ専門メディア『ESPN』もこう報じている。

「ノックアウトには近づかなかったが、井上は間違いなくアフマダリエフをあらゆる面で打ちのめした」

 ボディ攻撃、ディスタンス制御、速さとテクニックの融合。井上はまさにPFPトップの資質を備えていると言えるだろう。

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#井上尚弥
#ムロジョン・アフマダリエフ

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