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世界陸上PRESSBACK NUMBER
「むりやり手を入れてきたり」世界陸上マラソンで箱根駅伝経験者が苦しんだ意外なワケ…「実力不足」だけでない日本マラソンの“弊害”とは
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/09/17 11:06
近藤亮太は2度目のマラソンに着実なレース運びで11位の健闘を見せたが、収穫とともに多くの課題も見えた
プラン通りに落ち着いてペースを保った近藤
「レースは、自分が楽に感じるペースをひたすら続けようと思っていました。ペースがぐっと上がっても落ち着いて対応し、ゆっくり上げていけば、また戻っていける。そういうところはこれまでのレースの研究で分かっていたので、42キロ、足が持つようなレースプランでいきました」
レースは、前日の女子マラソンで7位入賞した小林香菜の展開をなぞるように進んだ。苦しくても我慢し、粘って落ちてくる人を拾って順位を上げていった。
「集団に入る時に前の人数を数えて、11、12番目になっている。何とか食らい付いていれば、落ちてきた人を拾っていけば、昨日の小林さんのように一つでも上の順位にいけると思っていました。結果、誰も最後は抜けずに、一人に抜かれて終わってしまったんですけど、最後まで諦めずに走ることができたと思います」
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近藤は、悔しさ半分といった風情ながらも、笑みを見せた。
入賞は果たせずも収穫あり
11位は、会社の先輩の山下が出場した2023年の世界陸上ブダペスト大会の順位と同じ。駒澤大で箱根2区を3年連続で走った先輩に並ぶことができた。目標の8位入賞は果たせなかったが、2度目のマラソンで最後まで粘り倒し、トップを追うレース展開ができたことは今後に繋がる収穫になった。レース後、「マラソンを自分の武器にして駅伝やロスのオリンピックを目指して、日本を代表するような、日本を引っ張っていけるような選手になりたいなと思います」と語った。
今回、スタート時の気象条件は気温27度、湿度76%と高温多湿だった。その影響か、今年3月の東京マラソン優勝、自己ベスト2時間03分23秒のタデセ・タケレ(エチオピア)、優勝候補で自己ベスト2時間02分38 秒のデレサ・ゲレタ(エチオピア)らエチオピア勢の3人が途中棄権。棄権者は22人に及び、世界のマラソン界をリードしてきたケニア、エチオピア勢がひとりも入賞できないという衝撃的な結果となった。

