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石川祐希「解決策が見つからない」高橋藍「正直、不安があった」“どうした男子バレー”まさかの予選敗退…トルコ戦翌日から一体何があったのか
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田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2025/09/16 11:06
2連敗を喫した試合後、言葉をかわすバレーボール男子日本代表・石川祐希と高橋藍。メダルを目指した世界選手権は予選ラウンド敗退となった
後がなくなった第3セット、ティリ監督が動いた。第2セット途中で石川に代わって投入された大塚達宣とリベロ小川智大が献身的なプレーでチームを盛り立てる。劣勢の中でも徐々に反撃の機運は高まると、高橋のフェイクセットにドンピシャのタイミングで入ってきた宮浦が決めて11-10と逆転した時には、会場に「ニッポン」コールが沸き起こった。
フルセットに持ち込めば、停滞した雰囲気も払拭できるのではないか――。
しかし、再び日本は中盤に崩れた。終盤にも連続失点を許し、万事休す。期待を大きく裏切る敗退となった。
選手交代のタイミングは適切だったか
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もっと早く選手交代をしてもよかったのではないか。たとえば、第2セットで連続失点を喫した時、交代の選択肢はなかったのか。ティリ監督が答えた。
「(2セットの連続失点時は)アタックに原因があったので、セッターの交代は考えなかった。2セットを落とした後、解決策を見出すためにリベロや新しいミドル(小野寺太志に代わった佐藤駿一郎)を試し、信じる必要がありました。そしてフィジカルで勝る相手に対しても我々は戦っていた。しかし重要な場面でミスが出た。まだチームとして十分ではありませんでした」
試合後のミックスゾーンに最初に引き上げて来たのは小野寺だった。俯き、足早に去ろうとする小野寺を止めると、その目は少し赤かった。
「この試合の結果はもちろん悔しい。自分としても、もっとコートの中で貢献したい、やり残したことも多いと思う中で代わって、納得しなきゃいけないと思っても納得できない部分もある。悔しいです」
宮浦も「ふー」と息を吐きながら懸命に言葉を絞り出す。
「チームとして、自分たちのパフォーマンスを出す難しさを感じました。自分自身、オポジットとしてチームに勢いをもたらす素質を持たないといけない中で、それも足りなかった。(今季の)最終目標としていた世界選手権で結果を出せなかった、ということがすべてだと思います」
誰しも言葉が重くなる中、辛辣な言葉を交えて「大会前から“予兆”を感じていた」と振り返ったのは高橋だった。



