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世界陸上「予選突破」…“史上最高レベル”日本女子100mハードルでベテラン選手が大活躍のワケ 「年を重ねても活躍」の理由はどこにある?
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byKiichi Matsumoto/Nanae Suzuki
posted2025/09/15 17:20
今回の世界陸上代表を争った(左から)中島ひとみ、寺田明日香、清山ちさと、福部真子。いずれも30代前後のベテランだがここ数年で一気に記録を伸ばした
「ネガティブな気持ちで(大会に)入ってしまったのは初めての経験。でも寺田さんはいつも何かしらを抱えた状態でも、スタートラインに立ったらいつもアスリートの顔というか、すごい覇気を感じていました。私もそういうふうにならなきゃなって。いちアスリートとして、マイナスな気持ちが見えない表情で行かなきゃというのは、近くで学ばせてもらっていました。なので、ちょっと真似しました」
今回の予選の後には、福部がこんなことを話していた。
世界大会の予選突破で驚かない…史上最高レベルに
寺田が牽引し、日本の女子100mハードルのレベルは格段に上がった。
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今回は中島と福部が準決勝に臨むが、昨年のパリ五輪では田中と福部が準決勝に進出している。世界のファイナリストになるにはもう一段高い壁を越えなければならないが、世界大会で当たり前のように準決勝まで進めるようになったのは、着実に日本のレベルが上がった証と言える。
現役ラストイヤーの寺田が日本選手権で意地を見せ、同じく現役引退を表明している清山ちさと(いちご)は最後まで東京世界陸上出場を諦めず、左手を骨折しながらも自己記録を12秒77まで伸ばし、参加標準記録に迫った。そして、さらに下の世代でも高校、中学と新たな記録が誕生している。
「ここに至るまでの道には私たち3人だけじゃなく、他にも切磋琢磨してきたハードラーたちがいるので。その人たちの想いを……というのはおこがましいかもしれないですけど、日本のハードラーを少しでも速く、少しでも長い時間見せたいなというふうに思っています」
こう話したのは中島。福部と共に新たな扉を開くために、今夜、決勝進出をかけて戦いに挑む。

