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世界陸上「予選突破」…“史上最高レベル”日本女子100mハードルでベテラン選手が大活躍のワケ 「年を重ねても活躍」の理由はどこにある?
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byKiichi Matsumoto/Nanae Suzuki
posted2025/09/15 17:20
今回の世界陸上代表を争った(左から)中島ひとみ、寺田明日香、清山ちさと、福部真子。いずれも30代前後のベテランだがここ数年で一気に記録を伸ばした
しかし、またしても福部は苦難を抱えることになる。パリ五輪後の10月中旬に菊池病(亜急性壊死性リンパ節炎)を発症し、発熱等の症状と戦いながら競技を続けてきた。今回の東京世界陸上へは茨の道。今年5月のアジア選手権を欠場するなど、予定していた試合に出場できず、ワールドランキングでの出場が難しい状況に立たされた。
世界陸上に出場するには参加標準記録(12秒73)をクリアしなければならなかったが、記録水準は高く、簡単なことではなかった。それでも期限ギリギリの8月16日、Athlete Night Games in FUKUIで、参加標準記録ぴったりの12秒73をマーク。日本代表に滑り込んだ。
「キセキだなって思いました。Mrs. GREEN APPLEさんの『僕のこと』がずっと頭に流れていて“奇跡”と“軌跡”のどっちもがスタートラインに立ったときに、自分の頭に思い浮かんでいました」
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スタートラインに立った時の心境を問われた福部は、その胸中をこう明かした。
福部、中島ともにキャリアが長いだけに意外だったが、2人が日本のトップハードラーに返り咲いたのはほんの3年前のことだ。
キャリアを重ねて…30歳前に急覚醒
福部が初めて12秒台を出したのと同じ22年に、中島は初めて日本選手権のファイナリストになった。そして30代に突入する年に、さらに進化を遂げた。2人とも、苦しい時期があっても競技を続けてきたからこそ今がある。
以前に比べると、年を重ねても第一線で活躍している選手が増えた印象がある。

