「今年は女子の方がプロレスを盛り上げてる」上谷沙弥の野望「女子初の“プロレス大賞MVP”を」ライバルはOZAWAと竹下幸之介…男女の壁をぶち壊せるか 

ライバルはOZAWAと竹下幸之介…現実的な可能性は？

　上谷は正統派なのにヒールよりブーイングを浴びているSareeeにも触れた。Sareeeは昨年の『女子プロレス大賞』を獲っているが、上谷は言う。

「たぶん、私のことを否定する人って、それぞれが焦っているんだよね。Sareeeもなつぽいも、正直悔しいんだよな。『私はこうだから、オマエもそうしろ』みたいなタイプ。こっちの感情を無視して、自分の考えをねじ込んでくる。『しっかりヒールしろ、バラエティ番組で笑うな』とかね。私とは考え方が真逆。違うから、いつかぶっ潰したいけれど、今、やりたいとは思わない。今、戦ったところで私が望んでいる戦いにはならないからな。戦うメリットを感じない。私は先に、未来に向かっているのに、Sareeeは過去に向かっているんだからな」

　上谷は一度も勝ったことがなかったビー・プレストリーに勝つことができた。

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「オマエがスターダムを離れていた4年間、沙弥様は頂点まで這い上がってきたんだよ」

フィニッシュとなった上谷沙弥のスタークラッシャー　©Essei Hara

　上谷のパイルドライバー、スタークラッシャーを3発も浴びて「息ができない」ほどアバラを痛めたプレストリーは苦しそうだったが、試合後にこう話した。

「私は少し時代に取り残されたのかもしれない。自分を変えなくちゃいけないのかもしれない。以前は私がこの団体でトップだった。でも、今は一番だなんて言えない。言えるのは、挑戦はやめないということ。敗戦からは必ず何かを学べるから」

「最強外国人」にそう感じさせた上谷の闘志は本物だった。

『プロレス大賞』レースの現況としては、ノアのOZAWAが9月8日の後楽園ホール大会で足の甲を負傷し、シリーズを欠場してしまった。OZAWAの目論見としては『N-1 VICTORY』で優勝して、10月11日の両国国技館大会でGHCヘビー級王座返り咲きを描いていただけに、アクシデントとはいえ、やや後退した形だ。

ノアのOZAWA。9月8日の後楽園大会で左足リスフラン靭帯損傷を負い欠場中　©Essei Hara

　もう一人の候補、竹下は新日本プロレスの『G1 CLIMAX』に優勝し、10月13日の両国国技館大会でIWGP世界ヘビー級王座初戴冠を目指している。だが、戴冠を果たしてもAEWを主戦場にしているため、日本での試合数が少ないのが、どうしてもマイナスポイントになる。

　上谷が提起したテーマは今後も議論を呼ぶだろうし、主催者の選考基準と意向にもよるが、一般的に考えてこの賞レースは上谷がリードしているとみるのが妥当だろう。