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「私の一番のアンチは私なんです」“キッズファイター”のイメージを超えたAZM(22歳)の今…渡辺桃戦後の涙の理由「初めて“悔しい”って言いました」

posted2025/09/15 17:04

 
「私の一番のアンチは私なんです」“キッズファイター”のイメージを超えたAZM(22歳)の今…渡辺桃戦後の涙の理由「初めて“悔しい”って言いました」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

2025年の5★STAR GPで準優勝を果たしたAZM

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

「スターダムの歴史が間違っていなかった、素晴らしいものだったということを確信しています」

 恒例のシングルリーグ戦「5★STAR GP」の盛り上がりについて、団体の社長である岡田太郎はそう語った。より直接的に“スターダムの歴史の勝利”と言ってもいいかもしれない。

 今年、決勝大会(8月23日、大田区総合体育館)のトーナメント・ベスト4に勝ち進んだのは渡辺桃、安納サオリ、AZM、吏南の4人だった。AZMと吏南は小学生、桃は中学生でスターダムに入門し、同時期に練習生、新人時代を過ごしている。安納もそこに加わっていた。当時、所属していたアクトレスガールズからスターダムに参戦していたのだ。

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 AZMは2011年に9歳でプロテストに合格し、2013年に試合デビュー。桃は2014年に14歳でデビューした。吏南は少し遅れて2018年のデビュー。11歳だった。

 “キッズファイター”という存在は微笑ましくはあるものの、どこか色眼鏡で見られがちでもある。

 しかしスターダムで鍛えられた“子供たち”は、それぞれがキャリアを積んでスターダム最強を決める舞台で輝きを見せた。桃はワンダー・オブ・スターダム、AZMはハイスピード、吏南はフューチャー・オブ・スターダムの最多防衛記録を更新したこともある。

セコンドの乱入は拒否…真っ向勝負だった

 決勝戦はAZMvs桃。かつては同じユニットQueen's Quest(QQ)に所属し、タッグリーグ戦で優勝したこともある。だが桃は2022年、AZMを裏切りヒールに。現在は黒いコスチュームに身を包み、ヒールユニットH.A.T.E.の中心メンバーとなっている。

 準決勝で安納に勝ち、決勝のカードが決まると桃は笑顔で「待ってろAZM!」と吠えた。決勝は大一番用の白いコスチューム。セコンドの乱入も自ら拒否し、最後は真っ向勝負の上で初優勝を決めた。

 そこにあったのは「元タッグパートナーへの想い」ではなかったという。純粋に今のAZM、22歳の大人のレスラーとして実力を発揮している選手に勝ちたかったのだ。逆にAZMは試合後のバックステージで「渡辺桃と決勝で闘えるのが嬉しいと思ってしまった。それが悔しい」とコメントしている。後日、あらためてその心情を聞いた。

「優勝しなきゃいけなかったし、これまでのこと(裏切り)を考えると渡辺桃にやり返さなきゃいけなかった。だけど一緒に過ごしてきた時間も長いよなぁって」

【次ページ】 「褒められるのはいつも桃でした」

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