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「今年は女子の方がプロレスを盛り上げてる」上谷沙弥の野望「女子初の“プロレス大賞MVP”を」ライバルはOZAWAと竹下幸之介…男女の壁をぶち壊せるか
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/09/13 17:01
スターダムの赤いベルトの女王・上谷沙弥が『プロレス大賞』MVP獲りを宣言した。創設52年目で歴史が動くかもしれない
過去に女子の『プロレス大賞』MVP受賞はなし
ノアの特異なキャラクター・OZAWAにも噛みつき、「プロレス大賞MVPは沙弥様のもの」と豪語する。
「男子か女子かで分け隔てるなら、それは古くて差別だろう」と息巻く。
東京スポーツ新聞社制定の『プロレス大賞』は1974年の創設からすでに51回を数えるが、MVPに女子の名前はない。52回目で、上谷がその歴史に風穴を開けようとしている。
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1995年から別枠で『女子プロレス大賞』が設けられているが、上谷が狙っているのは、賞の創設期からアントニオ猪木やジャイアント馬場が獲得してきたプロレス大賞のMVPだ。
9月6日、横浜武道館でビー・プレストリーを下した上谷は、AZMの持つ新日本プロレスのSTRONG女子王座に狙いを定め、9月27日の後楽園ホールで保持する赤いベルトもかけてダブルタイトル戦を行う。
「沙弥様は栄光を必要としている。STRONG女子のベルトがどんなベルトか知らないけれど、AZMには私の野望、今年のプロレス大賞MVP獲得の踏み台になってもらうよ」
『プロレス大賞』はこの1年を評価するものだが、選考は12月初旬だから、記憶の新しさでどうしても10月、11月のインパクトがものをいう。その存在をさらに印象付けるために上谷は激しく戦う必要がある。
そうすれば、上谷の気持ちを時代が自然と後押ししてくれるだろう。
上谷が金曜日の朝にレギュラー出演しているTBS系のテレビ番組『ラヴィット!』で、蝶野正洋と会う機会があった。その後1時間以上ゆっくりと話をすることができたという。蝶野と話せたことが上谷にとって大きなプラスになった。
「私がレジェンドの人に言うのもおこがましいけれど、蝶野さんが通ってきた道、プロレス街道に共感できる部分がすごくたくさんあった。私が『オマエはヒールじゃない』とか言われると話したら、蝶野さんに『そのまま突き進んだ方がいい』と背中を押してもらった。みんなが敵だと思っていたら、味方になってくれる人がいた。偉大なレジェンド。柔軟で、器がデカい人だなあ」
そんな蝶野も61歳だ。黒のカリスマも貫禄が付いた。


