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「今年は女子の方がプロレスを盛り上げてる」上谷沙弥の野望「女子初の“プロレス大賞MVP”を」ライバルはOZAWAと竹下幸之介…男女の壁をぶち壊せるか
posted2025/09/13 17:01
スターダムの赤いベルトの女王・上谷沙弥が『プロレス大賞』MVP獲りを宣言した。創設52年目で歴史が動くかもしれない
text by

原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「プロレス大賞、欲しいに決まってるだろ!」
スターダムの上谷沙弥はちょっと凄んでからゆっくりしゃべり始めた。
「私がMVPをとることで固定観念が変わる」
「この1年通して、リング内、リング外、すべてにおいて私が一番プロレスを広めてきた。あの横浜アリーナでの引退マッチもあったしな。プライベートを切り捨てて、プロレスにすべてを費やしてきた。実績でも自分が一番だと思っている。気持ちでも男子のOZAWA選手やTAKESHITA(竹下幸之介)選手に負けていないと正直思っているよ」
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女子として史上初となる『プロレス大賞』MVP獲得を上谷は公言する。
「今までMVPは男子しかとってこなかったし、『女子プロレス大賞』があるんだから、MVPは男子だろうという声もあるのは知っている。でも、MVPはその年プロレス界で一番活躍した選手に与えられるものだろう。それだったら、私で当然。なんでそんなにこだわるかっていうと、今まではプロレスって言ったら男子が目立ってきた。でも、今年は私を筆頭に女子の方がプロレスを盛り上げてきたという実感があるんだよな」
上谷には自信が見えた。
「これでプロレスの男女の壁が壊れる。私がMVPを獲ることによって、今までの固定観念が変わる。イメージが変わる時なんだよ。分岐点というのかな。これは女子が飛躍するためのターニングポイントになる。ある意味逆転だな。そして、これはさらなる飛躍をするためのものだ。私の夢は東京ドームでスターダムの興行をすること。それにつなげていきたいんだよ」
テレビ番組で上谷を知って、それからプロレスへ、という流れが生まれた。
「私がメディアに出たことで新規のお客さんが初めてスターダムの会場に見に来てくれて、ファンが増えている。私なら今までぶち破れなかった壁を破れる。そんな未来のために『プロレス大賞』MVPを獲りたいんだよ」
昨年7月、悪の世界に身を投じた上谷は、12月に中野たむを破ると、それから赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)の女王として奮闘してきた。4月27日には敗者引退マッチで中野を引退させ、メディアにも積極的に登場して世間的に認知度の高いレスラーになった。プロレスが相対的に内側、内側へと向かっている中で、外に向けて発信できる存在は貴重だ。



