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「大谷翔平のクローザー起用? あると思うよ」“ブルペン崩壊”を予見したLA記者が占う“ドジャース連覇”への道筋「不調の守護神がキーマンか」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byJIJI PRESS

posted2025/09/12 17:02

「大谷翔平のクローザー起用? あると思うよ」“ブルペン崩壊”を予見したLA記者が占う“ドジャース連覇”への道筋「不調の守護神がキーマンか」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ドジャースは再び世界一になれるのか。ポストシーズンを見据え、投手起用を番記者に予想してもらった

 今季のドジャースブルペンには不安があるのは先ほども話した通りだ。ポストシーズンでは、先発からブルペンに回る投手がそこで鍵を握る役割を果たす可能性もあるとは思う。とはいえ、例えばグラスノーがローテに残った場合、カーショウが終盤のリリーフで重要な役目を与えられるとは思わない。カーショウもロングリリーフとして数イニングを投げることはあるかもしれないが、接戦のまま終盤にもつれたとき、基本的にブルペンの成否は現有戦力の投手たち次第になってくるのではないか。

 ブレイク・トライネン、マイケル・コペック、アレックス・ベシアがしっかり投げ、タナー・スコット、カービー・イェーツが調子を取り戻すこと。ブルペンには依然として才能のある投手が十分にいると球団は見ているし、それが強みになると信じている。

 ただ、実際にはシーズンを通してパフォーマンスが不安定。去年のような支配的な投球を見せる姿は想像しづらい。特に去年のポストシーズンのように多くのイニングを任されるようなら、なおさらだ。だからこそ今季の場合、先発投手が6、7回まで投げて救援の負担を減らせるかどうかがキーポイントになる。

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 ここでリリーフ陣のキーマンを選ぶなら、やはりスコットだと思う。9月5、6日に2夜連続サヨナラ打を許した姿に象徴されるように、ドジャース移籍1年目の左腕は厳しいシーズンを過ごしてきた。5日のオリオールズ戦での登板を見ても、9割の球は良かったのに、たった一球のミスが痛打された。残り数週間でそういう細かいところを修正できれば大きいが、逆にこのまま苦しみ続けても不思議はない。マーリンズ、パドレスでプレーした昨季は22セーブ、防御率1.75と活躍したほどの力がある投手なのだから、復調できるかどうかはチームに大きな影響を及ぼすはずだ。

大谷翔平は“クローザー”で起用すべきか

 ここで改めて大谷の話をしておくと、投球のキレはすごくいいと思う。最近の登板では変化球を織り交ぜて打者2巡目、3巡目をうまく抑えているのも心強い。残りのシーズンもそれを続けられれば、かなりいい状態でポストシーズンに臨めるのではないか。打撃でも十分な働きをしており、2度目のトミー・ジョン手術から復帰したシーズンでこれだけの結果を残してきたことにドジャースは満足している。

 ポストシーズンでは大谷をクローザーで使うべきでは、という声が出ているのは知っている。常時ブルペンで投げることはないとしても、たとえばシリーズを締め括りたいような場面で他に良い選択肢がなくなり、大谷に準備ができているなら、そういう起用法を考える線はあると見る。そこで問題になるのは“二刀流ルール”だ。

 現行ルールでは9回以外で投げ、その後に交代してしまうと打席に立てない。クローザーとして起用されても、試合を終わらせられなかった場合には以降のイニングで大谷の打撃機会を失うリスクがある。そこが一番の障害だと思う。

 加えて、先発としても必要な存在だから、基本的にはポストシーズンではローテーションの一員として投げるはずだ。だから考えられるのは9回の特定の状況での登板くらい。最終的にはブルペンの状態や、シーズン最終盤でローテがどうなるか次第で、そういう限定的な起用が選択肢になるかが決まると思う。どうなるかはわからないが、興味深いシナリオであることは間違いない。

【次ページ】 「ササキが戦力になる可能性は低い」

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