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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「何をしているんだ」藤川球児監督(45歳)が激怒した“珍しい瞬間”…エラーした選手を“批判しない”監督術「全員で反省」こうして阪神を優勝させた
posted2025/09/14 11:03
監督就任1年目でリーグ優勝に導いた藤川球児(45歳)
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph by
Hideki Sugiyama
藤川球児監督は佐藤輝明のような主力打者でも、あくまで「打線」「チーム」という全体のなかの1人として話す。主砲の決勝ホームランで勝っても、1人の活躍だけではないと強調する。他方、若手のエラーが原因で負けても、個人の責任にせず、全体の問題として考えた。
成功も失敗もチーム全体の財産になる――そんな藤川監督の思考は他のコメントにも随所に表れていた。
個人の失敗=チームの失敗
■6月27日 負け 3対4 ヤクルト(神宮) ※22歳の高寺望夢がサヨナラエラー
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――高寺は最後バウンドを合わせられなかった。
「それも使っているこちらの(責任の)ところですから。また明日、顔を上げて戦ってくれればというところですね」
■7月15日 負け 2対3 中日(甲子園) ※高橋遥人、森下翔太の失策絡みで逆転許す
――それだけに2つのエラーがもったいない。
「もちろん、そうですね。これはやっぱり常々言っている全体のところですからね。ピッチングコーチを含めて全体で練習をするだけですね。ゲームを意識してね」
■8月29日 負け 3対4 巨人(甲子園) ※先発・大竹耕太郎の左ふくらはぎが攣る
――コンディションに問題が。
「一応、緊急降板になりますからね。それもチームのことですから、この悔しさをまた明日に、全体として生かしていかなければいけないと思いますね」
個人の失敗事例を「全体」で共有し、同じことを繰り返さないように促し、「明日」と前を向く。毎試合、そんな紋切り型のコメントが続いた。メディアは見出しにしづらいし、ファンも飽きてくる。その意味で、藤川監督のコメントは面白みに欠けていた。
しかし、「チームへの意識徹底」において、ワンパターン談話は極めて効果的だった。人は時間が経てば教訓を忘れてしまう。だから、大事なことは何度でも繰り返し、選手の潜在意識に訴えかける。グラウンドで起きているミスは、決して対岸の火事ではない。試合後の会見を通じて、この考え方を選手やスタッフに浸透させた。


