バレーボールPRESSBACK NUMBER
「セナさんも最後、コートに立つ時間が…」石川真佑と抱き合って何を話した? 女子バレー関菜々巳(26歳)流した涙以上に光った“笑顔”の価値
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byVolleyball World
posted2025/09/10 11:06
バレーボール女子日本代表の副キャプテンとしてチームを支えたセッター関菜々巳(26歳)。決勝進出を逃したトルコ戦後に流した涙が印象的だった
準決勝の相手・トルコは、高い攻撃力を誇る強敵だが、日本のサーブで揺さぶりディフェンスで粘れば勝機があった。勝てば47年ぶりの決勝進出が決まる。
日本は第1セットを大差をつけて奪うが、その後2セットを連取される。第4セットは接戦の中、和田の連続サービスエースで21-17と抜け出した。終盤、関はパイプ攻撃やミドルブロッカーの攻撃を選択。勝負所でサイドに偏ることが多かった関がチャレンジしているようにも見えた。だがサイドアウトに繋がらず、ジリジリと追い上げられると、和田のライトスパイクがブロックに捕まり24-25と逆転された。最後はハイボールを得点に繋げようとした佐藤淑乃のスパイクがアウトとなり、25-27でゲームセット。
顔を覆って号泣する関に、セカンドセッターの中川つかさや島村が寄り添った。関はまた自分を責めていたのかもしれない。
ADVERTISEMENT
翌日のブラジルとの3位決定戦、関は第2セット途中に中川と交代し、その後はアップゾーンから祈るような表情でコートを見つめた。
中川は、NECレッドロケッツ川崎でもチームメイトの佐藤のパイプ攻撃を積極的に使って勢いに乗せ、その佐藤が爆発。日本は2セットダウンからフルセットに持ち込む驚異の反発力を見せ、マッチポイントを握るが、最後の1点に届かず、涙を飲んだ。
新キャプテン石川真佑の言葉
試合後、新体制1年目のチームの軸となって共に支えてきたキャプテン石川と関は抱き合い、長い時間言葉を掛け合っていた。変わろう、チームを変えようと一緒にもがいてきた2人。
8日に帰国し、空港で取材に応じた石川がその時のやりとりを少しだけ明かしてくれた。
「今シーズンは私がキャプテンで、セナさん(関)が副キャプテンでやってきたので、いろんな思いがありました。セナさんも、最後にコートに立つ時間っていうのが、ない部分もあったりだとか、セナさんが個人的に感じるものもたぶん多かったと思います。でもやっぱりチームを作っていく中でいろんな話をしてきたので、また来年に向けて、それぞれが強くなって、というところはありました。今シーズン、勝ちきれなかった悔しさというのは……それぞれ思いがあったなと感じています」
空港に降り立った関は、「もう大丈夫です」と吹っ切れた笑顔だった。
まだまだここは通過点。そんな目で、前を向いた。



