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「セナさんも最後、コートに立つ時間が…」石川真佑と抱き合って何を話した? 女子バレー関菜々巳(26歳)流した涙以上に光った“笑顔”の価値 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2025/09/10 11:06

「セナさんも最後、コートに立つ時間が…」石川真佑と抱き合って何を話した? 女子バレー関菜々巳(26歳)流した涙以上に光った“笑顔”の価値<Number Web> photograph by Volleyball World

バレーボール女子日本代表の副キャプテンとしてチームを支えたセッター関菜々巳(26歳)。決勝進出を逃したトルコ戦後に流した涙が印象的だった

「割り切りができるようになりました。今のは、スパイクは決まらなかったけど、ブロックは1枚になった、とか、相手を見られるようになってブロックが1.5枚になったから今のはオッケー、というふうに。今までは、コートに入るとその割り切りができなくて。『今の決まらなかったから、私のトスが悪かった。次はもっとこうしなきゃ』というふうに、決まらなかったら私が悪い、と自分で自分を追い込んで心の余裕がなくなっていった。

 パス(サーブレシーブ)が崩れてどうしようもない時も、「ヤバイ、サイドアウト取れなかった。私のせいだ」と今まではなっていました。それも今は、『パスで押されているからしょうがない。我慢の時だ』と割り切れるようになったのは、メンタル面の成長かなと感じます」

 割り切れる分、切り替えもうまくいき、感情豊かに、楽しそうにコートを駆け回っていた。練習中も笑顔が多く、アクバシュ監督と英語で頻繁にコミュニケーションを取る姿には自信が漂っていた。

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 今年、関と抜群のコンビを見せ得点を重ねてきたミドルブロッカーの島村春世も、関の変化を感じ取っていた。

「昔は、もっと自信を持っていいのにとか、伸び伸びやってもいいのにと思っていた部分があったんですけど、今はそこが変わって、すごく楽しそうにやっているなと感じます」

15年ぶりの準決勝進出に貢献

 ただ、世界選手権の予選ラウンドは先発メンバーの違いもあったせいか硬さが見えネーションズリーグの時のような伸びやかさを欠いた。第2戦のウクライナ戦は2セットダウンの大ピンチから、3セットを連取し逆転勝利を収めたが、関は沈み込んだ表情だった。

 それでも第3戦のセルビア戦は立て直した。後半になるにつれミドルブロッカーの打数も増え、前回大会女王にセットカウント3-1で勝利。3連勝で予選ラウンドを1位通過すると、決勝ラウンドでは自信を取り戻したかのようだった。

 トーナメント1回戦でタイに3-0で勝利すると、準々決勝ではフルセットの末に逆転でオランダを撃破。最後は第5セット14-12から関が託したトスを、石川がレフトから鋭く叩きつけ、銅メダルを獲得した2010年以来、15年ぶりの準決勝進出を果たした。

【次ページ】 決勝進出を逃したトルコ戦で号泣

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