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《サッカー日本代表vsメキシコ予想スタメン》69億円級MF佐野海舟と遠藤航を取材記者が推すワケ「デュエル専門だけでなく攻撃力も…」
posted2025/09/06 17:30
遠藤航と佐野海舟。日本代表が誇るデュエル強者の2人だが、W杯本番に向けて“それだけでない可能性”とは
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
佐野は“69億円級”と独専門誌が評価
日本代表のキーマン・佐野海舟は「未来を見ることのできる」選手である。
だから、冷静な分析で知られるドイツの「キッカー」誌でさえも、こう書いている。
「2026年には佐野はプレミアリーグ方面へと別れを告げるだろう。この新たなスーパースターは4000万ユーロ(約69億円)台の移籍金を打ち破る」
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69億円となれば、アタッカー以外では日本人で断トツ最高額の移籍金となる。
彼がそこまで評価されるのは、守備か攻撃いずれかに特化した選手ではない、現代サッカーの申し子だから。ボランチでコンビを組む遠藤とともに、北中米カリブ海王者メキシコとの試合で勝負のカギを握る選手になる。
メディアを含めて多くの人が誤解しているのだろう。昨季ブンデスリーガのデュエルランキング3位に輝いたこともあり、佐野はボール奪取の秘訣やコツについて聞かれることが多い。
しかし佐野はいつも、ボールを奪うことではなく、ボールを奪うときの身体の向きを強調する。
「ボールの取り方が一番大事かなと思います。後ろ向きで奪うよりも、どうすれば前向きで奪えるのかというのを考えてやっています」
佐野にとって、ボールを奪うことは目的ではない。強く意識しているのは〈良い攻撃をするためにボールを奪う〉ことだ。佐野について筆者が「未来を見ることのできる選手」だと評する理由もそこにある。
端的に言うと、佐野は守備から攻撃に移る「ポジティブ・トランジション」の能力に長けている。ボールを握りたいであろうメキシコの脅威になるポテンシャルを秘めているのだ。
メキシコの立場から見れば、佐野にボールを奪われるリスクを考慮しながら、パスを回さないといけない。つまり危険な綱渡りを強いられる状況になる。ボールを持っていない状態で相手に脅威を与えられる選手だからこそ、佐野は69億円の男になると評価されているわけだ。
チームメイトが奪った時も佐野が輝くワケ
では自身ではなくチームメイトがボールを奪ったとき、佐野はどうするのか。
「ポジティブ・トランジション」の申し子であるから、そこでも彼の良さは発揮される。むしろブンデスリーガ初挑戦となった昨シーズンは、味方がボールを奪った時の動きに、佐野の進化の跡が見受けられた。
昨季のマインツでは開幕から全試合先発したが、シーズン前半戦と後半戦で明確な違いがあった。

