甲子園の風BACK NUMBER

「立場が変わっても、朗希は高校時代のまま」ドジャース・佐々木朗希が同級生と“軟式野球”をした秘話…岩手大会決勝で先発した“もう一人の主役”の今 

text by

佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

PROFILE

photograph byL)Kiichi Matsumoto、R)Asami Enomoto

posted2025/09/26 11:05

「立場が変わっても、朗希は高校時代のまま」ドジャース・佐々木朗希が同級生と“軟式野球”をした秘話…岩手大会決勝で先発した“もう一人の主役”の今<Number Web> photograph by L)Kiichi Matsumoto、R)Asami Enomoto

2019年夏、佐々木朗希に代わって先発した大船渡・柴田貴広のインタビュー(第3回)

「気づいたら試合が終わって、閉会式をして、取材を受けて、学校に帰って……。ラストミーティングみたいなことをすることもなく、翌日からは普通に学校が始まっていたという感じでした。3年生は12月に親や先生に感謝の気持ちを伝える場があるんですが、自分は大学入試と重なって出られず、結局自分の思いをチームメートに話す機会はなかったんです」

 仲間たちが集まって“あの夏”について話すようになったのは、卒業して数年経ってからだ。

「大学2年か3年の頃、お酒を飲みながら高校時代の話をできるようになったという感じですかね。でも、朗希も他のメンバーも、決勝の話はあまりしない。気を遣ってとかではなく、自然としないです。岩手大会の話をするのなら、宿舎での面白かった出来事とか、そんな思い出話をする。あの試合にもし朗希が投げていたら、という会話もしたことがないです。もしかしたら俺がいないところでしている、っていう可能性はありますけどね(笑)」

ADVERTISEMENT

 佐々木は2020年にドラフト1位でロッテに入団して活躍した後、今年から海を渡りチャンピオンチームのドジャースの一員となった。同学年の仲間たちはみな社会人になり、その多くは地元に残って働いている。

「消防士や警察官、地元の新聞社で取材する側になったやつもいますね。働き出すとなかなか会う機会はないです。年末ぐらいですかね」

朗希が声をかけ、全員で軟式野球をした日

 最後に全員で集まったのは、3年ほど前の冬のこと。佐々木が自ら声をかけ、仙台市内のドーム型施設を貸し切って軟式野球をした。「野球を続けている人は違うポジションを守る」というルールで2チームに分かれ、柴田さんは外野を、佐々木は三塁を守った。久しぶりにみんなで白球を追いかけ、みんなで大声をあげて笑った。

「めちゃめちゃ楽しかったです。仙台駅に集合してみんなで野球をした後、キャプテンの家に行って朝まで飲んだり、ゲームをしたり。プロ野球選手になって立場は変わっても、朗希自身は全く変わっていなかった。高校時代のまま。だからみんな普通に接していました。身につけているものは高級になっていましたけどね。良かったですね、あの会は……」

【次ページ】 あの日の先発投手“その後の今”

BACK 1 2 3 NEXT
#大船渡高校
#佐々木朗希
#柴田貴広
#花巻東高校
#ロサンゼルス・ドジャース

MLBの前後の記事

ページトップ