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プロ野球レジェンドも思わず「プロでもあんな守備は見たことがない」…甲子園で好守連発 末吉良丞でも新垣有絃でもない沖縄尚学“職人”の正体とは? 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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photograph bySankei Shimbun

posted2025/08/27 11:03

プロ野球レジェンドも思わず「プロでもあんな守備は見たことがない」…甲子園で好守連発 末吉良丞でも新垣有絃でもない沖縄尚学“職人”の正体とは?<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

元ヤクルトの古田敦也氏も大絶賛だった沖縄尚学のサード・安谷屋春空の好守。その好プレーのウラにはどんなトレーニングがあったのか

取材時は首から金メダルを外して…

 沖縄県の気質から、さらにはムードメーカーとしてもっと喜びを爆発させるのかと思いきや、しっかりとした口調でこう述べた。もちろん、ミスをした過去もあるため自重していた部分もあったのだろう。

 だが、安谷屋は優勝し、閉会式を終えた取材では首から下げた金メダルを敢えてはずし取材に応じていた。「メダルはどこに置いているの?」と尋ねると、後ろにあるバッグの上にそっと置かれたメダルの方に目線をやった。外した理由は明確に言わなかったが、こう口にした。

「メダルを首に掛けてもらった時は、もう何とも言えない気持ちになりました。この夏はもう楽しくて、最高の夏でした」

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 この夏、49校で唯一、甲子園で6試合を戦い抜いた。

 特別な夏となったことは間違いないが、それでも普段通りの姿勢を最後まで貫いた。全力で校歌を歌い、勝利の直後の感情はさらけ出したが、試合後は勝者、敗者は関係ない。そう言っているようだった。

「今日はあまり決勝戦だと思い込まないように、今までと同じように、ひとつの試合として戦えました。その結果が優勝となったことがすごく嬉しかったです」

 沖縄にとって特別だった夏は、沖縄尚学ナインにとって普段通りの姿勢で臨み、積み重ねてきた鍛錬を発揮できた夏だったのかもしれない。

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