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「中日戦ではちょっとセンチメンタルになったね」DeNAビシエド“実は未体験”CSへの静かな決意「毎日出場はできなくても、まだまだ自分はやれる」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/08/25 11:03
バンテリンドームでの古巣・中日戦で大活躍を見せたビシエド
中日との別れ
昨年の10月6日、球団から契約を更新しないことが発表された。ビシエドはその旨を聞かされたとき率直になにを思ったのだろうか。
「長年過ごした愛着のあるチームなので残念ではありました。ただプロの世界ですから、そういうことが起こるのも理解しています。過去2シーズン満足のいく成績を挙げられずチーム構想に入れなかったと思いますし、それは仕方がないこと。ただ、ここまでやってこられたのは球団のおかげですし、本当に感謝しています」
謙虚で真面目、そして明るさをあわせ持つのが誰からも愛されたビシエドだ。ただ、球団の判断に納得はしたものの、心に燻る野球への思いは抑えきれず、36歳になる今季も現役続行を決め、一路メキシコへと渡った。
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「昨季が終わったとき、自分としてはフィジカル面もメンタル面も、まだまだできると感じていたんです。野球人として、スポーツ選手として、自分がやりたいと思っている以上、つづけるべきだと考え、メキシコに行きました」
バックアップ主体というオファーであっても
メキシコでは、日本時代と変わらぬルーティンを黙々とこなし、打席に立ち、新たなオファーを待った。そして攻撃の要であるタイラー・オースティンのコンディション不良に加え、長打力不足にあえいでいたDeNAから声が掛かった。だが、契約内容はバックアップを主とするものだった。それでもビシエドは快くオファーを受け入れた。
「まずは日本に戻って来られるチャンスをもらえたことに感謝しました。たとえ毎日試合に出られなくとも、与えられたタイミングで自分のベストを尽くしさえすれば結果を残せると思っていました。そして、また日本に行けると家族もすごく喜んでくれたんです」
新天地は、長年対峙してきたDeNAだが、これまでどのようなイメージを持って戦っていたのだろうか。

