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「中日戦ではちょっとセンチメンタルになったね」DeNAビシエド“実は未体験”CSへの静かな決意「毎日出場はできなくても、まだまだ自分はやれる」
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石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/08/25 11:03
バンテリンドームでの古巣・中日戦で大活躍を見せたビシエド
外国人選手で一番早く球場に来ている
数々の外国人選手と接してきた天野氏から見てプロフェッショナルを感じさせる部分はどこだろうか。
「評判は耳にしていましたが、やっぱり練習熱心ですよね。外国人選手のなかでは一番早く球場に来ますし、試合後もウェイト・トレーニングに取り組んでいる。とにかく準備に余念がなく、バックアップという立場で出番は限られているのですが、すべてを受け入れベストを尽くそうとしている。すごく高い集中力を感じます」
シーズン残り約30試合。DeNAは現状、リーグ優勝はかなり厳しい状況にあるが、それでもクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性は高い。ビシエドはこれまでポストシーズンを経験したことがなく、もしCS進出が決まれば未知の領域となる。ビシエドは言う。
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「シーズンもあとわずかになって、こういった上位争いのなかで戦えるのは、選手としてすごく嬉しいことです。毎日、1試合1試合が、すでにポストシーズンのような緊張感や雰囲気があるので、そういった状況でプレーできるのはとてもエキサイティングだと思っています」
ファンの声援が自分にスイッチを入れてくれる
横浜スタジアムに詰めかけるファンの熱量もビシエドを刺激している。
「すごくいい球場ですし、ファンの方々からの声援もすごくて勢いもある。この雰囲気や迫力は特別なものだと感じていますし、自分にスイッチを入れてくれる存在ですね」
代打、スタメンと役割は多岐に渡るが、NPBで10シーズン目、日本野球を知り尽くした球史に名を刻むキューバ人は改めて言うのだ。
「自分の役割は、どんな場面であっても、与えられたチャンスを生かしチームの勝利に貢献することです。おかげさまでコンディションもいいので、チームの期待に応えられるよう準備していきたいと思います」
真摯に語るビシエドではあるが、そこには野球をプレーできる幸せといった感情がほのかに漂っていた。

