「新宿の歌舞伎町で人の流れに逆行して歩き…」釜本邦茂、早稲田大時代の伝説…4年連続得点王「4年生が号泣するのを見て、いいことをしたんだなと」 

「関西の人間は関西に帰らんとアカンやろ。卒業したらヤンマーへ行け」

“蛇ににらまれた蛙”で、ヤンマー本社で山岡浩二郎や役員から外国人選手の獲得などの強化計画を聞かされ、首を縦に振るしかなかった。

早稲田大学時代の釜本（1965年）©︎AFLO

「勝つために自分の体をいじめ抜き」

　釜本はア式での日々をいま振り返り、4年間の財産を「スポーツに専心することの楽しさを知ったことに尽きる」と言う。

ADVERTISEMENT

「勝つためには練習で自分の体をいじめ抜き、不断の努力を続けないといけない。上級生しかいない新入生時代、後輩が多くなった3年、4年生時代と、立場は変わっても練習にちゃんと向き合い、公式戦で勝利をつかむという目標にみんなで向かっていくなかで、つねに楽しさを実感していた。陰湿ないじめも理不尽な練習もなく、部全体に人間味が溢れていた」

　ヤンマーでは251試合出場して202得点をマーク。得点王7回、アシスト王3回など前人未踏の記録を残した。日本代表としては2回のオリンピックに出場、1968年メキシコ大会では7点で得点王に輝く。FIFA公認国際Aマッチ76試合出場で75得点。不滅の記録だ。

＜続く＞

『早稲田サッカー　百年の挑戦』（伊東武彦・著／徳間書店）＊書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。