「偏差値70超え」公立進学校の野球部が“県大会でベスト4”快進撃はなぜ起きた？「練習は生徒が考案」「時間がないからこそ…」監督と選手の証言 

　ちなみに勝ち進みながらも、当然3年生が受験を控えた年であるのは変わらない。移動のバスの中では少ない時間を有効活用しようと、膝の上で参考書を読む光景がそこかしこで見られていたという。

「2-17コールド」夢を打ち砕いた前橋育英もまた…

　そうして21年ぶりのベスト4進出という快進撃を続けてきたタカタカの夢を砕いたのは、準決勝の前橋育英だった。

　2-17の5回コールド。ぐうの音も出ない完敗だった。広沢主将が振り返る。

ADVERTISEMENT

「試合後のメディカルチェックの場で、向こうの話を聞くタイミングがあったんです。それを聞くと、正直、どうやっても勝てなかっただろうなぁと」

　打者の苦手なコースに投げることはできた。守備もそれに連動したポジショニングをしっかり取れていた。打つ方も狙い球は絞ることができていた。

　戦略は機能していたにもかかわらず、苦手なはずのコースを打者に打ち込まれ、狙い通りのはずの球種にバットが空を切った。端的に、誤魔化しの効かない「運動能力の差」にねじ伏せられた格好になった。

　その前橋育英も、決勝では健大高崎を相手に敗れた。健大高崎は、群馬だけでなく全国から選手が集まってくる超強豪校である。タカタカが甲子園に行こうと思うのならば、こういった学校と対戦することは避けられない。

「普通の公立校」のベスト4は確かに快挙である。だからこそ、さらに“その上”に向かうために、感じたことはあったのだろうか？

〈次回へ続く〉

#3に続く

“偏差値70超え”公立進学校の野球部が「21年ぶり県ベスト4」のウラ側…「雲の上の存在」強豪私学へのホンネは？ フツーの高校生が高校野球にかけた青春

#3

“偏差値70超え”公立進学校の野球部が「21年ぶり県ベスト4」のウラ側…「雲の上の存在」強豪私学へのホンネは？ フツーの高校生が高校野球にかけた青春

#2

「偏差値70超え」公立進学校の野球部が“県大会でベスト4”快進撃はなぜ起きた？「練習は生徒が考案」「時間がないからこそ…」監督と選手の証言

#1

公立校の甲子園出場「過去最少わずか6校」の裏で…“偏差値70超え”フツーの進学校野球部が県大会で躍進のナゼ「スポーツ推薦も、朝練もなし」