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高校野球ベテラン記者が選ぶ“甲子園で見たかった”不出場選手たち…“昨夏全国ベスト4”強豪を「130キロ台で翻弄」、186cmの「大型サイドハンド」も?
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byAsahi Shimbun
posted2025/08/06 11:02
昨夏の甲子園でベスト4まで進出した鹿児島・神村学園を追い詰めた樟南高のエース・犬窪晴人。サイドスローからのシュートに強打者も苦戦
「県下無敵」とも評された神村学園打線だって、準決勝でさんざん苦しんだ。
130キロ後半で内に食い込んでくる「シュート」に詰まらされ、手首を立てて投げるサイドハンドなので、低めの速球がホップして見える。低めの高さを見極めきれず、空振りを重ねた。
5月の公式戦では、1四球のみの準完全試合をやってのけたそうだ。
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ピンチにも決然と向かっていく精悍な面構えと打者を圧する目力が「薩摩隼人」だった。
186cmの大型サウスポー…その真骨頂は?
同じ九州のサイドハンドで、甲子園のマウンドでその投げっぷりを見たかった投手が「福岡」にいた。
久留米商高・持地唯吏投手(3年・186cm83kg・右投右打)は、大型のサイドハンドだ。
プレート一塁側から1足分ほどインステップして、そこから右打者の外へ左投手のクロスファイアーのような軌道を作れる。一方で、左打者に対しても、外角に速球とスライダーのコントロールを持つ。スライダーは外のボールゾーンからストライクにできるから、高校生には攻略困難だろう。
このスライダーが曲がり幅の大きな「スイーパー」気味に動く。186cmの長身だ。腕もそれなりに長いので、打者はミートポイントを作れない。
チェンジになるとサッとマウンドを降りて、ダグアウト前で戻ってくる野手の一人ひとりとコンタクト。いちいち「おつかれさま!」とねぎらっているような表情が印象的。
試合を見た日は相手関係もあって、力をセーブした投球にも見えた。さりげなくスッと落とすシンカーもあったようで、甲子園で全力投球、本気のピッチングが見たかった。
もちろん「甲子園で見たかった」選手は投手だけじゃない。野手にも魅力たっぷりの逸材がいた。
<次回へつづく>

