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セDH制電撃決定も“2027年から”のナゾ「高校野球も六大学も来年から」「メジャーは大谷翔平の存在で即断」原点は50年前の“反論9カ条”か 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/08/06 06:00

セDH制電撃決定も“2027年から”のナゾ「高校野球も六大学も来年から」「メジャーは大谷翔平の存在で即断」原点は50年前の“反論9カ条”か<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2027年からのDH制導入が決まったセ・リーグ。大谷翔平級でなければ「打席に立つ投手」は消えることになった

 そこで、ナ・リーグも「DH制」に踏み切ったのではないか。事実、大谷翔平はナ・リーグのドジャースに入団した。MLBのマンフレッドコミッショナーは、これを「ユニバーサルDH」と称し、大きな呼び物とした。

 これ以降、ア・ナ両リーグの違いはほとんどなくなった。インターリーグの試合数も増え、MLB30球団の「融合」は進んでいるように見える。「反DH」の牙城のようだったナ・リーグがDH制を導入したことで、世界の主要な野球リーグでDH制を導入していないのは、日本のセ・リーグとアマチュア野球だけになった。

セ、高校野球…「老舗」はDH制導入が遅れた

 しかし中学以下の少年野球も「国際大会」に出場することが増えた。世界のアマチュア野球はほぼすべてDH制だ。それもあって、小・中学校の野球もDH制を導入する流れになった。ボーイズ、リトルシニア、ヤング、ポニーなど中学硬式野球もすでにDH制を導入している。そして東京六大学野球、関西学生野球連盟、日本高野連も来年からの導入を決め、しんがりがセントラル・リーグとなったわけだ。

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 DH制が遅れたリーグ、団体はいわゆる「老舗」が多い。

 MLBでもアメリカン・リーグは1901年の創設、ナショナル・リーグは元をたどれば1871年のナショナル・アソシエーションまで行きつく。両リーグの対抗意識は強く、新興のア・リーグの決定に従うことにナ・リーグが抵抗感を抱いたとの見方もある。

 同様に戦前、1リーグ時代から続く巨人、阪神、中日が所属するセ・リーグも、パ・リーグの決定に従いたくなかったのではないか――と言われている。

半世紀前にセが発表した“反論9か条”

 1975年のDH制導入に際して、セ・リーグは以下の反論の文書を発表している。

一:1世紀半になろうとする野球の伝統を、あまりにも根本的にくつがえしすぎる。
二:投手に代打を出す時期と人選は野球戦術の中心であり、その面白みをなくしてしまう。
三:投手も攻撃に参加するという考え方をなくしてしまう。
四:DH制のルールがややこしくファンに混乱をおこさせる。
五:ベーブ・ルースやスタン・ミュージアルは投手から野手にかわって成功したのだが、そのような例がなくなる。
六:仕返しの恐れがないので、投手が平気でビーンボールを投げる。
七:いい投手は完投するので得点力は大して上がらない。
八:投手成績、打撃成績の比較が無意味になる。
九:バントが少なくなり野球の醍醐味がなくなる。

 パ・リーグへの対抗意識がにじみ出るような文書ではある。しかし、当時のセ・リーグ関係者は「ベーブ・ルースの再来」と呼ばれる二刀流のスーパースターがパ・リーグから現れるとは夢にも思わなかっただろう。

【次ページ】 なぜセDH制導入は「再来年から」なのか

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