酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
セDH制電撃決定も“2027年から”のナゾ「高校野球も六大学も来年から」「メジャーは大谷翔平の存在で即断」原点は50年前の“反論9カ条”か
posted2025/08/06 06:00
2027年からのDH制導入が決まったセ・リーグ。大谷翔平級でなければ「打席に立つ投手」は消えることになった
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
8月4日、セントラル・リーグの理事会で「2027年シーズンからセ・リーグもDH制を導入する」と発表があった。まさに唐突と言うしかない。
その3日前には、日本高野連が26年の公式戦からDH制を導入することが正式に決定した。筆者は日本高野連の取材を続けてきたが、7回制やビデオ判定とともにDH制はかなり以前から議論されていた。すでに高校野球界全体の流れとしても「DH制導入」は、既定路線になっていた印象だった。
ア・リーグから半世紀以上…年代で追うDH導入時期
MLBのアメリカン・リーグでDH制が導入されてから、すでに半世紀以上の歳月が経っている。主要リーグ、団体のDH制導入時期について、年代を追うとこうなる。
ADVERTISEMENT
1973年 MLBアメリカン・リーグ
1975年 NPBパシフィック・リーグ
1982年 KBO韓国プロ野球(創設時から)
1988年 社会人野球日本選手権大会
1988年 全日本クラブ野球選手権大会
1989年 都市対抗野球大会
1990年 CPBL台湾プロ野球(創設時から)
2022年 MLBナショナル・リーグ
2024年 中学軟式野球(中体連)
2024年 小学校軟式野球(スポーツ少年団)
2026年 東京六大学野球
2026年 関西学生野球連盟
2026年 日本高野連
2027年 NPBセントラル・リーグ
アメリカ国内のマイナー・リーグ、独立リーグ、メキシカン・リーグ、ウィンターリーグであるカリビアンリーグなどもすべてDH制を導入している。しかし1990年にCPBLが導入して以降、おおよそ30年「DH制あり、なし」のリーグが併存し、拮抗していた。
ナDH制導入には大谷が関係していた?
この壁を破ったのが、2022年のナショナル・リーグだった。じつはナ・リーグのDH制導入には大谷翔平が関係していたとの見方がある。
2023年オフにFA年限を迎える大谷翔平が、どこに移籍するかは大きな注目を集めていた。「二刀流」の大谷翔平は、DH制がないリーグではプレーできない。今やスポーツ界屈指のスーパースターでありビジネス的にも非常に大きな存在である大谷翔平の獲得は、MLB球団にとっても最重要のテーマだった。

