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「事前の打診とかないのかよ!?」落合博満との”1対4トレード”真相を牛島和彦が激白!「中日が『お金をこれだけ出すから』でカチン! と」
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赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/05 11:00
中日時代の牛島。クローザーとして84年には最多セーブ、移籍前の86年にも16セーブを挙げていた
落合博満との1対4の交換トレードであること。牛島のほかに中日から出される選手が上川誠二、平沼定晴、桑田茂であることも、その場で説明された。自分以外の3人は、この時点ですでにトレードを承諾させられていたらしい。
球団幹部にすれば、残る牛島1人を説得できれば、マスコミに正式に発表できる。球団側にもそういう焦りがあったのか、牛島の神経を逆撫でするような言葉がなおも続いた。
おまえが断ったら小松辰雄を出さなきゃいけなくなる
「球団には、『おまえが断ったらエースの小松(辰雄、当時27)を出さなきゃいけなくなる』と言われましたよ。でも、そんなの、僕の知ったこっちゃない。出される選手としては承諾を迫る前、事前の打診とか何かないのか、と思うじゃないですか。こんなんアリ? という気分ですよ。
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そこへ持ってきて、『今ここで決めてくれ、そうすれば、発表がニュース番組に間に合う』みたいなことまで言われた。僕には何の番組かわかりませんが、たぶん夜10時からの〈ニュースステーション〉(テレビ朝日系)に間に合わせるつもりだったんじゃないですか。それにもまたカチッ! ときたんです。
球団にはとりあえず『考える時間をください。2日間ください』と言いました。『僕ら選手は商品です。ある意味、物です。でも、物やけど、その前に人なんですから』と。『僕は入団以来、ずっと球団に奉仕してきたでしょう。無駄なメシ食ってませんよね。それなのにこの仕打ちですか』とね。
先に承諾させられた3人は、はっきり言って、泣き寝入りじゃないですか。トレードですから、選手はイエスかノーしかない。ノーと答えたら野球を辞めるしかない。しかも、今回は4対1で、4人のうちの1人だと。相手が三冠王とはいえ、4人のうちの1人にされた気持ちがわかるかと、そういう気持ちでした。

