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「対立構造になってごめん」即和解の香川真司と内田篤人…“SNSが知らない”高校からの友情「あの時シンジはスゴかった」旧知記者が見聞きした話
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了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byVI-Images/Getty Images
posted2025/07/27 11:00
シャルケとドルトムント時代の内田篤人と香川真司。高校時代から2人を知る記者が見た関係性とは
「いや、あの時のシンジはすごかった」
香川のエピソードを求めると、当時の話から始まる。よく知らない小柄な年下に完全に好き放題やられた――その印象は強く、当然ながらそれは根源的なリスペクトとして今も残るのだ。
その後、香川と内田は世代別から日本代表のチームメイトとして共に戦うことになる。06年U-19アジアユース、07年のU-20W杯、08年北京五輪。世代別代表を終えると、2010年の南アフリカW杯では内田はメンバー入りするも1試合も出場することなく、一方サポートメンバーだった香川は主力組の紅白戦の対戦相手として、キレキレの好調ぶりだった。
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主力組に刺激を与えてベスト16進出の立役者となったことはみなが認めるところで、「南アで一番キレてたのは香川」と話す選手は少なくない。
香川もシャルケ内田のCL躍進をリスペクトしていた
そして南アW杯直後、2人は同時にドイツに旅立った。
内田のシャルケはチャンピオンズリーグで準決勝まで進み、ドイツ杯も優勝を果たした。クラブとしては9シーズンぶりのタイトルだった。香川のドルトムントはユルゲン・クロップ監督のもとバイエルンを倒し2001-02シーズン以来の優勝を果たした。2人は揃って、日本から飛び立って1年目のシーズンで即活躍しただけでなく、クラブにとって特別なシーズンに主力として戦った。つまり、クラブから見ても特別な選手たちだ。
その中で香川にとって、内田が眩しく見えていた。2010-11シーズンのCLを戦うシャルケで、日本人最高のベスト4を経験していたからだ。
CL準決勝でシャルケはマンチェスター・ユナイテッドと対戦した。この時、槙野らと現地で観戦した香川は「日本人でもこんな大舞台に立てるんだ」とそこでプレーする内田を見て初めて知ったと言い「でも一番強烈だったのはマンチェスター・ユナイテッドの強さ」とのちに所属するクラブへの憧れが芽生えたことも明かしている。
そんな、20年来の深い深い付き合いの彼らではある。だが、親しき中にも礼儀ありなのもまた当然のこと。現役同士であればピッチに出れば敵でも味方でもサッカーが解決してくれる。でもピッチを離れればそうはいかない。言葉も、態度も、大事になってくるものだ。
今回の場外戦は解決済み。またいつか、彼らが何かを共にし、我々を楽しませてくれることを私は信じている。

