ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「ジャーメイン抜きの優勝はあり得なかったが」“遅咲き30歳FW”はW杯に行けるか…トルシエがE-1をズバリ総括「中国にはない日本の保証だ」
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byVCG/Getty Images
posted2025/07/23 17:22
E-1得点王とMVPに輝いたジャーメイン良。30歳にして日本代表で結果を残したストライカーに次のチャンスは来るか
「それは相手が日本を恐れていて、過度に警戒したからだ。それが前半における日本の支配を可能にした。だが、ハーフタイムに相手の監督は、『日本はそこまで怖くはない。われわれももっと攻められる』とチームを鼓舞した。だから後半は積極的になった。
とはいえ日本が相手を恐れさせたのは間違いない。日本は日本だ。その評判は絵空事ではなく、特に前半は、相手は守備的にならざるを得なかった。それが日本のゲーム支配を容易にした。しかし後半になると、相手もイニシアチブを取るようになり試合は拮抗した」
――W杯に向けてこの大会は重要ではないかも知れませんが、W杯に対してはどんなパースペクティブを抱いていますか?
ADVERTISEMENT
「言えるのは日本代表には時間が必要だということだ。森保はすでにチームを頭の中に構築している。9月からは毎月2試合の国際試合が控えている。そうだろう」
モチヅキやリュウノスケにとって重要な機会になる
――とりわけ9月の2試合は重要で、アメリカ戦とメキシコ戦がアメリカで行われます。
「つまりこれからは、チームにオートマティズムを構築するための時期になる。彼の頭の中にはすでにチームがあるが、6試合は望月や佐藤のような選手にとって、チームに適応できるか否かのとても重要な機会になる。特に日本で開催される親善試合は、グループを拡大するいい機会だ。
ただ、現状でのパースペクティブをいえば、日本にとっての課題はオートマティズムをどれだけ進化できるか。それには時間が必要だし、反復練習も欠かせない。彼はさらに新たな選手を求めてはいない。頭の中にあるグループに、いかに多くのプレーの機会を与えられるか。遅れは許されない。
日本は世界最速で、それも優れたレベルのプレーで予選突破を決めた。今は静かに落ち着いて、本大会に向けての準備を進める時期だ。グループのクオリティは高く、さらに3~4人が日本のエコシステムからグループに加わる可能性がある。彼らが日本のアイデンティティをさらに強固にする。そこには何の焦りもない。落ち着きのなかでの、冷静かつ沈着な準備だ。
そうした落ち着きこそが、日本代表がこの大会で見せたことであり、韓国戦の後半はあれだけ難しかったにもかかわらず、まったくパニックに陥ることなく冷静にプレーした。組織は最後まで強固だった。それは日本の未来にとっても、大きな保証になるだろう」
国内組の思いは実を結んだ
――国内組の選手でも、それだけのプレーができるということですね。

