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ウィンブルドンテニス決勝で世紀の「0-6、0-6」敗戦に涙…グラフの全仏「こんなに早く終わって申しわけない」事件以来の「大惨事」はなぜ起きた? 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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posted2025/07/21 17:02

ウィンブルドンテニス決勝で世紀の「0-6、0-6」敗戦に涙…グラフの全仏「こんなに早く終わって申しわけない」事件以来の「大惨事」はなぜ起きた?<Number Web> photograph by Getty Images

ウィンブルドンでは114年ぶり、四大大会全体でも1988年全仏以来という決勝戦「ダブルベーグル」負けを喫したアニシモワ23歳はスピーチで涙をこらえきれない

 32分、13ポイントに比べれば、57分も戦い、24ポイントを奪い、デュースに持ち込んだゲームも3つあったアニシモワは健闘した。試合時間だけを見れば、過去にはより短い決勝戦もある。たとえば2014年、ペトラ・クビトバがユージェニー・ブシャールを6-3、6-0で破った試合は55分だった。しかし、残念ながら人々の記憶に残るのは時間やポイントではなく、ダブルベーグルというスコアである。

ズベレワのその後はどうなったのか

 ポーランド初のウィンブルドン覇者となった24歳は、今季の不振を批判してきたメディアを恨み、「この数カ月、メディアが私のことをどう言ってきたか、残念ながらポーランドのメディアの、私やチームに対する扱いは愉快なものではなかった。私のことは放っておいてほしいし、もっと自由にやらせてくれればと思う」と言い放って溜飲を下げたが、表彰セレモニーでのインタビューで涙したアニシモワにも、いつか雪辱の日が来るだろうか。

 37年前、準優勝スピーチを拒んだズベレワは記者会見で涙をこぼし、逃げるように会見場を立ち去った。グラフにはその後も負け続けたが、18連敗のあとの19度目となる対戦……あの初対戦から10年後の1998年のウィンブルドンでついに初勝利をつかみ、両手を突き上げて芝の上を飛び跳ねた。

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 さらに準々決勝では元女王のモニカ・セレスも退け、あの準優勝を除けばグランドスラム自己最高となるベスト4入り。キャリアで再び決勝のコートに立つことはなかったが、ダブルスでは18ものグランドスラム・タイトルを獲得し、ナンバーワンにも君臨した。

 アニシモワの切ない涙と引き換えに掘り返されたドラマは、決して悲劇ではなかった。

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