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偏差値70で甲子園優勝1回“名門公立進学校”は「月曜オフ」「19時半で絶対に全体練習終了」勉強時間を確保して…「野球脳を鍛える必要がある」
posted2025/07/19 11:03
静岡県屈指の名門公立校。野球部のリアルな今を指揮官に聞いた
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Jun Aida
普段から野球脳を鍛える必要がある
静岡高校は甲子園で春夏通算43回の出場を誇る公立校の雄だが、近年は夏の甲子園出場から遠ざかっている。能力の高い中学生が県外の甲子園常連校へ流出する中、静岡高校が選択肢の最上位となるために何が必要なのか。池田新之介監督の答えは明確だった。
「甲子園で勝てるチームづくり」と「進学実績」、この2つが重要だという。
静岡高校の根底にあるのは「自主自立」の精神だ。池田監督はこの方針をグラウンドでも貫いている。
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「学校生活と部活動の方針が異なれば、選手たちは戸惑ってしまいます。指導者が何でも指示し、型にはめてしまうと自立心は伸びません。指導者に言われたことをやる方が楽かもしれませんが、選手が考えて自ら動く静高の伝統を継続しています」
池田監督は、自立心が勝負所の差に表れると考えている。特に試合中の瞬間的な判断や選択は選手自身に任せるしかない。
「1から10まで言われたことを一生懸命に100%こなす取り組みは素晴らしいです。でも、それだけでは勝負を分ける局面で力を発揮する選手は育ちません。判断力や感性を磨くために、普段の練習から野球脳を鍛える必要があると考えています」
私立の勢いに押され気味な現状を甘んじて受け入れるつもりはない。「静岡県は公立高校を応援してくれる土壌があります。私立の勢いに負けていられません」という池田監督の言葉には強い決意が表れている。
「人気大学への進学につながる実績が重要」
同校は進学校としての特性を活かしている。
例えば月曜日は完全オフにし、平日は午後7時半で全体練習を終えるなど、部員たちが勉強する時間を確保しているのだ。
「中学生も保護者も高校野球を終えた後を気にしているので、人気のある大学への進学につながる実績が重要だと考えています」(池田監督)
私立校の勢いに対抗する静岡高校は、公立校ならではの「個を生かしたチームづくり」の中で4年ぶりの甲子園を目指している。静岡県に根差す公立の魂はどのようにチーム強化につながっているのか――その独自の取り組みは続く記事で明らかになる。〈つづきは本編〉

