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大谷翔平31歳「じつは投手復帰後の打率.203」160キロ+防御率1.00だが…“打撃下り坂”の懸念「ロバーツ監督とドジャースは初の二刀流運用だけに」
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJamie Squire/Getty Images
posted2025/07/19 06:00
投手として復帰後、短いイニングでの好投が続く大谷翔平。ただ打撃成績を見ると?
22年まで、投手として打席に立った時の大谷は、それ以外の試合よりも打撃成績は控えめだった。2022年にはMLB史上初の「規定打席、規定投球回数」同時到達を果たした。
そしてエンゼルス最終年の23年、大谷は投手として7本塁打OPS1.220。まさに神がかっていた。しかし大谷はこの年の8月、右肘の内側側副靱帯を損傷し、投手としてはリタイア。さらに9月4日には打撃練習中に右わき腹を痛め、打者としてもリタイアする。自身2度目のMVPを獲得したものの、明らかにオーバーヒートしていた。
ロバーツ監督にとっても二刀流運用は初めて
2024年、ドジャースに移籍した大谷は「右ひじ靱帯再建手術」のリハビリ途上だったが打者として159試合に出場。史上初の50-50(50本塁打50盗塁)を記録、本塁打、打点王の二冠も獲得し、両リーグでのMVPに輝いた。
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「打者に専念すれば、大谷はこれほどまでにすごい成績を挙げる」
それを見せつけた形だった。
そして今年。本塁打はリーグ1位だが――投手復帰以後、成績は下落。投手で打席に立っても数字は上がっていない。
デーブ・ロバーツ監督が「二刀流・大谷」を使うのは初めてのこと。投手陣が「野戦病院」状態のドジャースにとって「投手・大谷」はのどから手が出るほどにほしいところだ。しかし後半戦、投手として本格復帰した大谷の打撃成績がさらに下落すれば、二刀流の運用で難しい選択を迫られる。
31歳になった大谷の今後のキャリアを考えても「無理をしない」選択があってよいと思う。せめて登板した試合とその前後の試合は、打者としては休んでも良いのではないか。
3回を投げたジャイアンツ戦は打者を圧倒した
以下、大谷を筆頭に、現地7月9日からオールスター前までの日本人メジャーリーガーの前半戦成績を振り返っていく。
〈大谷翔平/ドジャース〉
・投手成績 ※投手のカッコ内は(球数-ストライク)
5試0勝0敗0S9回5安0本2球10振 責1率1.00
7月12日ジャイアンツ戦 3回1安0本1球4振 責0(36-25)
12日のジャイアンツ戦は今季初めて3イニングを投げた。特筆すべきは「回転数」だ。フォーシームは160km/hフラット、2500回転を記録。カットボールも高回転、速球系で打者を圧倒した。
投球内容が充実する一方で、やはり気になるのは打撃か。

