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52歳でNHK退局「妻も“そのうち辞めるだろう”と」あのスポーツ名実況アナが決断理由を明かす「ラグビーW杯で…あ、後輩も大丈夫だな」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNanae Suzuki
posted2025/07/23 11:00
今年、NHKを退局した豊原謙二郎アナウンサー。これまでのキャリアと今を聞いた
「もちろん、後進の育成、マネジメントのような仕事は非常に大切でやりがいのある業務であることもわかっていました。ただ、スポーツ報道を志してNHKに入り、ずっと現場でいた人間ですので。わがままを言えば、現場(スポーツ実況)の仕事は続けられたと思います。でもそれは違うよね、と。この先、何をしていくかというのはずっと考えていました」
――「サンデースポーツ」での任務を終え、2024年春から名古屋局に配属になりました。情報番組「まるっと!」のキャスターに。
「東海三県向けの報道番組を1年間、担当しました。NHKという組織は改めて地域報道に支えられてるんだと感じることができたので、勉強になる濃い時間を過ごすことができました。一方でやりたいことが他にあるということがハッキリわかってしまった、とも言える時間だったなと」
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――ハッキリとわかった、とは?
「目指すものが見えてきた、そんな中で名古屋への転勤が決まりました。報道の仕事に自分自身が生きがいを感じることができれば続ける選択肢もあったと思いますが、この1年間で自分の気持ちを「確認」したという感じです。それこそ、報道志望の優秀な後輩はたくさんいるので、私ではなくてもいいのではないかとも思っていました」
妻も”そのうち辞めるだろう”と覚悟していたと思います
――ご家族は反対しなかったんでしょうか。
「少しずつではありますが、妻には『サンデースポーツ』が終わったらやりたいことを実現できる環境に身を置きたい、という話をしていました。『もし、辞めるって言ったらどうする?』みたいなことを3年ぐらいかけてじっくり(笑)。だから妻も、そのうち辞めるだろうと覚悟はしていたと思います」
――決断を伝えたときの反応はどんなものだったでしょうか。
「最終的には『食べていけるんだったらいいよ』という形で、私の想いを尊重してくれました。今年の春に長男が社会人になり、次男が大学2年生になる。あと2年分の学費と自宅のローンを払いながらやりくりすればいい。それならば頑張れる、と。妻はとても不安だったと思いますが、私は気持ちが顔に出てしまうタイプなので、葛藤が伝わっていたのかもしれません。“生き生き”していたほうが家庭の空気が良くなると思っていたんじゃないかと思います(笑)。先ほども言った通り、早く決断できていたので、自分としては円満退職だと思っています」
後輩からはありがたいことに…
――先ほど世代交代のお話が出ましたが、後輩の方々はどういった反応だったのでしょうか。それこそ、豊原さんの実況を見てNHKに入局した方も多いと思います。

