- #1
- #2
サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「長友佑都38歳は森保ジャパンにやはり不可欠なのか?」950日ぶり代表戦で記者が見た覚悟…北中米W杯まで“あと1年”のリアルな現在地
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2025/07/17 11:08
E-1選手権で3度目の優勝を飾りトロフィーを掲げる長友佑都
そして、北中米W杯への意欲をあらためて語った。長友は22年カタールW杯のベスト16でクロアチアに敗退した後、その場ですぐに4年後の26年北中米W杯を目指すと宣言していたが、950日ぶりの代表マッチ出場を果たした今回も「22年にまた次のワールドカップを目指すと決意した瞬間から気持ちは変わっていない」と力強く言った。
2年半あまりの間、長友のW杯を目指すスタンスは変わっていない。生き物がごとく縷々変化してきたのは森保ジャパンだ。
長友“再招集”の引き金となった瞬間とは
カタールW杯の後、代表からしばらく遠ざかっていた長友が再び招集されたのは、ベスト8に沈んだ24年1月のアジア杯が引き金だった。欧州組を中心にタレントぞろいのフルメンバー構成で出場した森保ジャパンだったが、日本はグループステージでイラクに、準々決勝でイランに、ともにロングボールを放り込まれて跳ね返せず、守備で耐えきれずにベスト8で大会を去った。
ADVERTISEMENT
イラン戦では森保監督が交代で投入した4人全員が攻撃的な選手であり、采配が裏目に出た部分が大きかったが、選手側にも敗因となるネガティブな要素はあった。アジア杯は欧州各国がリーグ戦を行っている時期と被りながら開催されるため、欧州クラブ所属の選手はチームを離れて日本代表活動に参加する。
彼らは所属クラブで日々、激しいポジション争いにさらされており、アジア杯の試合が続く中でも「自チームのことはもちろん気になる」あるいは「気にならないとは言えない」と語る選手は多かった。それで気持ちが散漫にならないのであれば問題はないが、普段対戦している相手と異なる、泥臭いスタイルの多いアジア勢との戦いでモチベーションアップに苦心している様子は実際にあった。そして、敗れた。
イラン戦後のミックスゾーンでは冨安健洋が「勝ちへの執着心が足りなかった。良くないときに声を出すとか、DFだったらがっつりボールを奪って雰囲気を変えるとか、攻撃陣ならドリブルを仕掛けて雰囲気を変えるとか。それはこのチームにないところ」と険しい表情で言い、「淡々とやるだけじゃなくて、何かを変えようとする選手がもっといないといけない。昔のことは知らないけど、僕が代表に入ってから成長できていないところ」と自らを厳しく断じた。
熱量不足という宿題を抱えた森保ジャパンに、アジア杯の2カ月後のタイミングで戻ってきたのが長友だった。《後編に続く》
