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「大学ではお姉さんタイプかな…でも実際は末っ子(笑)」パリ五輪辞退から1年、チームで慕われる宮田笙子(20歳)の現在「また一番になりたい」
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto
posted2025/07/24 11:02
2024年の経験を経て、新たな挑戦の道を歩み始めた女子体操・宮田笙子(20歳)のインタビュー(最終回/全3回)
ただ、自分自身の心情はなかなか人に言えないタイプだという。それもあって、落ち込んだときは一度、目一杯まで落ち込むのが宮田流のメンタルコントロール。
「落ち込んでもいいからちゃんと戻ってくることが重要なのかなと思って、1、2日ぐらいなら落ち込んで練習できなくたっていいと割り切る時もあります。一番良くないのは落ち込んだ気持ちのままやってケガをすること。やはり、気持ちを立て直してからじゃないと危ないです」
もうひとつのメンタルコントロール方法は友達と話したり一緒に出掛けたりすることだ。
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「そうすることでまた明日から頑張ろうという気持ちになれるので、今は自分の扱い方が分かって来ているという感じです」
宮田の決意「また一番になりたいという思いもある」
直近にはユニバーシティゲームズの試合が控えている。宮田にとっては種目別跳馬で金メダルに輝いた2023年に続き2度目の出場。前回、銀メダルに甘んじた女子団体で金メダルを取ることが最大の目標だ。
「今回のユニバのメンバー(宮田、深沢、芦川、牛奥、岡村)はみんな何かしらの世界大会で被っている選手。ノリというか、波長が合うというか、すごく楽しいです。ナショナル合宿では(10代半ばの)若い選手も増えたので、合宿では(年齢が上の選手たち)みんなで『しんどいね』なんて言っていますが、それも楽しいし、その中でまだまだ頑張りますよ。若い子たちがいるおかげで元気をもらっているのもありますし」
さまざまな葛藤を経て再起を果たした今、宮田は「また一番になりたいという思いもある」と語っている。
「そこを目指すにはもっと自分の気持ちと向き合っていかなきゃいけないけど、いろいろな経験をしたことで、人にはない強さや感情を込めて演技することもできると思います」
少し大人になった宮田の体操人生第2章が始まっている。
(撮影=榎本麻美)


