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「大谷翔平級の打撃成績じゃないと」 吉田正尚“守備マイナス評価”が示す日本人打者MLB挑戦のハードル…村上宗隆や佐藤輝明、岡本和真にも影響か
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byMaddie Malhotra/Boston Red Sox/Getty Images
posted2025/07/03 11:06
復帰が迫っている吉田正尚。レッドソックスのチーム事情がある中、持ち前の打撃力を見せつけられるか
両サイトにはWARの打撃、守備別の評価も紹介されている。oは攻撃面、dは守備面。
〈2023年〉
rWAR 1.4/o1.8、d-1.1
fWAR 0.7/o5.4、d-18.6
〈2024年〉
rWAR 1.4/o1.4 d-0.9
fWAR 0.8/o5.0 d-10.9
数字は単純な合算ではなく、守備位置別に比重が異なるなど複雑な計算式となるが、吉田の守備評価はマイナスになっている。守備に就かないDHの守備評価は、もともとマイナスなのだが、守備評価が足を引っ張ってWARの数字が伸びなくなる。
“大谷でもマイナス指標”…村上や岡本、佐藤輝は?
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例えば、打者としてはDH専業の大谷翔平の数値を見てみると――ここ3年のWARは以下のようになっている。
〈2023年〉
rWAR6.1/o6.1、d-1.1
fWAR 6.6/o60.3、d-14.5
〈2024年〉
rWAR9.2/o9.2、d-1.7
fWAR 9.0/o79.6、d-17.2
〈2025年〉
rWAR 3.9/o3.9、d-0.8
fWAR 4.1/o36.1、d-9.0
守備的にマイナス評価となるDHとしてMLBで高評価を得るためには――大谷クラスのずば抜けた成績を挙げないといけない。
これは、今後MLBを目指すといわれるヤクルト村上宗隆、巨人・岡本和真、阪神・佐藤輝明の将来をも示唆している。3人とも基本的には内野手だが、近年は守備の名手と評するレベルではなく、そのためMLBでは本職ではない外野もしくはDHになる可能性が高い。大谷と鈴木誠也以外の歴代日本人打者の成績が「小型化」したことを踏まえれば、打撃で高評価が得られるような成績が挙げられるかどうか。
個人的見解だが――大谷のようにMLB移籍後も成長しない限り、日本人打者は軽々にMLBを志向すべきではないと考えている。
“約130億円”の高額年俸が移籍のネック
吉田は、他チームであればDHとして活躍の余地があると思われる。ただし5年9000万ドル(約130億円)の高額年俸がネックとなって移籍も難しくなっている。6月15日、デバースがジャイアンツにトレードされたことで吉田がDHで出場する可能性が高まってきた。3年目、ここからどんな成績を挙げることができるか。
現地6月23日から7月1日までの日本人メジャーリーガーの成績を見ていこう。まずは打者としてDH専任ながら、投手として復帰プロセスを着々と歩んでいる印象の大谷から。
〈大谷翔平/ドジャース〉
投手成績 ※投手のカッコ内は(球数-ストライク)
3試0勝0敗0S4回3安0本1球3振 責1率2.25
6月28日ロイヤルズ戦2回1安0本1球1振 責0(27-20)
16日の最初の登板ではシンカーを多投、22日はスイーパーが決め球だったが、初めて2イニングを投げた28日は縦スラで空振りを奪っていた。使える球種を模索しているのか? 6月の3登板でのフォーシームの平均球速、回転数は以下の通り。

