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甲子園の風BACK NUMBER
練習時間は90分、グラウンド使用は週2日でも…「偏差値73」大阪の超進学校に現れた186cmエースが目指す“ベスト16の壁”越え「体重は去年から7kg増」
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2025/07/04 11:01
大阪府でも屈指の進学校である三国丘高校。野球も3年連続で府ベスト16に進出する強豪公立校だが、ポテンシャル十分の大型投手はその壁を破れるか
早い春の終わりとなったが、夏に向け士気は上がっている。大好きなトレーニングも単に身体を大きくするだけではなく、瞬発性を高めるメニューも意欲的に取り組んできた。
さらには課題だったコントロールは、春に比べて内外にきっちり投げ分けられるようになったという。さらにはストレートの球速のアベレージが上がり、強い球がさらにたくましくなってきた。
「今の時点では速いカーブに自信がありますけれど、キレをもっとつけないと通用しないと思っています。カーブ以外の変化球の精度も夏に向けてもっと上げていきたいです」
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激戦地・大阪での3年連続16強は、公立高校でなかなか成し遂げられることではない。
目標は「チームを勝たせられるピッチャー」
辻監督は「たまたま希望して入学してくれた子たちを含め、毎年ピッチャーを中心に頑張ってくれただけ」と謙そんするが、吉満自身は時折語気を強めながらこう決意する。
「まずはチームを勝たせられるピッチャーになることが目標です。春は守備でエラーが絡んで負けてしまいましたが、フォアボールで守備のリズムを悪くしてエラーが出やすい状況を自分が作ってしまいました。たとえエラーが出ても、それをカバーできるようなピッチャーになりたいです」
そしてストレートへの思いもこう口にした。
「これだけの体格なのにストレートのスピードが139キロしか出ないなんて、身体を使えていないのかと言われてしまいそうですが……夏には140キロは超えるようにしたいです。スピードが全てではないんですけれど、やっぱり140キロは出したいですね。ベスト16の壁も含めて、そこは超えていきたいです」
進路は「京大進学を目指している」という。
大阪の公立の雄・三国丘。その中心に立つ吉満は、中学時代の無念も晴らしつつ、分厚い壁を破ることを静かに誓う。その先には今まで見たことのない壮大な景色がきっと広がっているはずだ。

