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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
全国高校駅伝「優勝候補」に意外なジョーカー?…「高校駅伝は今年が最後…走りたい」ある“長距離後進国”からの留学生が語る“駅伝への想い”
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2025/06/30 06:01
今冬の全国高校駅伝では優勝候補の一角と目される仙台育英高。3年生の簡子傑は長距離種目では非強豪国である台湾からの留学生だ
現在、高校3年生。卒業後の進路が気になるところだが、5000mや10000mでも好タイムを持ち、高校トップクラスの実力を持つ簡ならば、おそらく関東の大学から声がかかっているのではないだろうか。
「箱根駅伝では1区を走ってみたい。先頭に立ちたいという目標があります」
そんな近未来を思い描いている。
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その前に、今目指すのは都大路。すなわち全国高校駅伝だ。
高校駅伝「留学生ルール」の壁
簡は1年時からインターハイ路線では全国出場を果たしているものの、駅伝では都大路を走ることができずにいる。なぜなら高校駅伝には「留学生の出場は1人まで」というルールがあるからだ。日本と同じ東アジア出身とはいえ、このルールは当然、簡にも適用される。仙台育英高の1学年上にはケニア人留学生のエリウッド・カヒガ(現・武蔵野学院大)がいたため、これまで簡の出番がなかった。
カヒガが卒業した今季は、1学年後輩のゼベダヨ・ララプと留学生枠を争うこととなる。
「全国高校駅伝は今年が最後。あの舞台を走りたいという気持ちがある。それには(ララプに)勝たないといけない」
2024年から外国人留学生の起用が最短距離の3km区間に制限されることになったが、1500mを得意とする簡は、短い距離に限定されるのは「自分にとっては悪くはない」と受け止めている。
現時点の5000mの自己記録ではララプよりも簡のほうが上。もっとも、ララプは1年時に800mを中心に取り組んでおり、5000mを走る機会が少なかっただけとも言えるが。
簡は都大路を走るラストチャンスをつかむために、後輩に負けるつもりはない。トラックの勢いそのままに、駅伝でも活躍を誓う。

