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“人種差別的暴言と酷評”を浴びた鎌田大地が英国人記者にポツリ「死の淵から生還、得意なので」クラブ初タイトルで評価一変…今夏去就は? 

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エド・アーロンズ

エド・アーロンズEd Aarons / The Guardian

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photograph bySebastian Frej/Getty Images

posted2025/06/29 17:00

“人種差別的暴言と酷評”を浴びた鎌田大地が英国人記者にポツリ「死の淵から生還、得意なので」クラブ初タイトルで評価一変…今夏去就は?<Number Web> photograph by Sebastian Frej/Getty Images

クリスタル・パレス移籍当初は序列が高まらなかった鎌田大地だが、クラブ史初のタイトルに貢献した

 イタリアの騒がしい首都で、暫定監督を含めて3人の指揮官のもとでプレーし、ドイツ時代のようなパフォーマンスはなかなか見せられなかった。そして2024年2月に、グラスナー監督を招聘したパレスが鎌田に興味を持っているようだと報じられた。半年後にはその噂が現実のものとなり、フリーで加入した鎌田はチーム最高額となる週給11万ポンドの契約を結んでいる。

 またクラブはピッチ上でなかなか本領を発揮できない鎌田を、さまざまな形でサポートしていた。試合中には憮然とした表情を見せがちだった彼のピッチ外のキャラクターをファンに見せるべく、クラブ公式SNSでたこ焼きやお好み焼きなど、お気に入りの日本食を紹介する姿をアップしたりした。

人種差別的な暴言を受けたこともあったが

 11月のフラム戦でケニー・テテに危険なタックルを見舞ってレッドカードを提示されると、ピッチを去る際に観客から人種差別的な暴言を受けた。3試合の出場停止と1試合のベンチを経て、12月中旬の敵地でのブライトン戦で途中から投入され、3-1の勝利に貢献。およそひと月後の敵地ウェスト・ハム戦で、先発したリーグ戦で初白星(2-0)を手にしている。

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 終盤まで温存された翌節のブレントフォード戦でチームが敗れると(1-2)、次のマンチェスター・ユナイテッド戦では先発して2-0の勝利に貢献。調子を取り戻しつつあった鎌田が、プレミアリーグに完全に適応したことを印象付けたのは、4月5日のブライトン戦だ。スピードとフィジカルへの対処法を見出し、持ち前のスキルを存分に披露して、中盤で絶大な存在感を発揮。1932-1933シーズン以来となる宿敵からのシーズンダブルに貢献し、サポーターからの評価も高まった。

「鎌田はプレミアリーグへの順応に時間を要したが、ついにその経験とクオリティーを証明した」とSNSのフォーラムに綴ったのは、あるパレスファンだ――議論のタイトルは「ブライトン戦でチームを救った鎌田を称えるポスト」だった。

死の淵から生還するのは、得意なことでもあるんで

 実際、この頃から鎌田は若きイングランド代表MFウォートン――レアル・マドリーやリバプールなどが食指を伸ばす逸材だ――と良好なパートナーシップを築き、プレミアリーグで屈指の機能性を誇る中盤を形成していた。

 相棒のウォートンは語る。

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