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「マユ・イシカワだけじゃない」敵将が驚いた“ある選手”とは? 古賀紗理那がいない女子バレー日本代表の現在地「今夜の日本は並外れて素晴らしかった」
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弓削高志Takashi Yuge
photograph byVolleyball World
posted2025/06/25 11:04
フェルハト・アクバシュ監督を迎え、新体制がスタートしたバレーボール女子日本代表。25歳の石川真佑がキャプテンに就任した
『現時点で世界のトップはイタリアだが、2番目は日本』
『この2カ国のカードは成層圏の彼方(=とてつもなくハイレベル)にある。日本相手の勝利は、他の国との1勝より何倍も価値がある』
『この日本は強すぎる。もし彼女らに一人でも(パオラ・)エゴヌか(エカテリーナ・)アントロポワ級のアタッカーがいたら、イタリアといえども勝負にならないのでは……』
試合後には、セッター関が相手リベロのモニカ・デ・ジェンナーロやMBサラ・ファールと、またリベロ福留が五輪MVPのOPエゴヌや主将アンナ・ダネージと談笑する姿があった。彼女たちは世界最高峰リーグ、セリエAの所属クラブで日頃ともにプレーするチームメイトであり、プレーの癖やコンディション等を互いに熟知する間柄だ。彼女たちは世界女王に臆することなく、金メダリストたちと同じ目線で勝負に挑んだ。
新生ジャパンの課題
だが、新監督の下でのチーム発足から日が浅い新生ジャパンには課題もある。
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試合へのアプローチが鈍く、1セット目を落としがちな点は顕著な例だ。粘りに粘ったイタリア戦での最終セットではマッチポイントを先に4度も得ながら、1点が奪えずにネット際のイージーなミスであえなくゲームを落とした。試合を通して見れば、ミドルブロッカーの攻守起用にも大きな成長の余地がある。
それでも、イタリアの主将ダネージは「日本とのゲームは決して楽な試合にならないことは私たち全員がよくわかっています」と日本への警戒を怠らない。
高さやパワーを武器にする欧州や南米勢相手なら対応策は身についているし、フィジカルのある中国もイタリアの選手たちはむしろ欧州型と見なしている。五輪女王イタリアにとって、規格外のレシーブ力を持つ日本は“世界を制するためには必ず倒さねばならないチーム”であり、はっきりとした好敵手なのだ。


