炎の一筆入魂BACK NUMBER

「自信にしていいと思います」交流戦のチーム打率は12球団中トップ! カープ新井監督がリーグ戦再開で取り組む課題とは 

text by

前原淳

前原淳Jun Maehara

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2025/06/24 06:00

「自信にしていいと思います」交流戦のチーム打率は12球団中トップ! カープ新井監督がリーグ戦再開で取り組む課題とは<Number Web> photograph by JIJI PRESS

好調な打線を牽引するファビアン。ドミニカ出身の27歳

 救援陣もまた防御率3.58と苦戦した。6月15日の日本ハム戦では最大7点リードをひっくり返され敗戦した。ただ、全体で見れば逆転負けは9敗中2試合のみ。昨季は接戦が多かったが、今季の交流戦では4点差以上がついた試合が半数以上の10試合にのぼった。得点力が上がった分、目に見えない形でチームに隙が生じたのかもしれない。藤井彰人ヘッドコーチは交流戦を振り返り、こう語る。

「今季と昨季を単純には比較できない。昨季は投手陣ができ過ぎなくらい頑張ってくれた。それだけ抑えてくれたと思う。ただ、あらためて“1点の重み”を感じてほしい。今季は守備において点に絡むエラーが多いようにも感じる」

 言及したのは選手のプレーや技術面ではなく、意識の問題だ。失点の原因は投手だけではなく、記録に残らないミスや連携ミスなど防げたものもあった。

ADVERTISEMENT

 昨季は「先行逃げ切り」という明確な戦い方があったが、今季はまだ定まっていない。今、チームに求められるのは「凡事徹底」。1点へのこだわりである。1点の怖さ、1勝の難しさを、昨年9月に誰よりも強く味わった経験を無駄にしてはならない。昨季は投手陣が攻撃陣の得点力不足をカバーして戦ってきただけに、投手陣を攻撃陣がカバーしながら新たな戦い方を構築していきたいところである。

待たれる守護神の復調

 リーグ戦再開後の投手陣のキーマンは、復調が待たれる栗林良吏だ。今季は開幕から複数失点する登板が目立ち、5月からはテイラー・ハーンとのダブルストッパー体制が敷かれている。つまり「抑え」だけでなく、8回の登板も担う起用法となっており、ある種の“降格”とも言える。

 1カ月が過ぎても、栗林はまだ本来の居場所に戻れていない。15日の日本ハム戦では、同点の10回にサヨナラ本塁打を浴びた。新井監督が栗林に求めるのは、結果だけではない。マウンドからあふれる自信、そして打者を威圧する存在感を取り戻すことを求めている。栗林自身も自覚している。

「真っすぐ自体は良くなっているのに、打たれることがある。でも、だからといって変化球でかわすような投球をしていては、今ここにいる意味がない。任せてもらっている以上、結果にこだわりつつ、自分がどんな投球をしなければならないかを意識している」

 抑えは特別なポジションであり、誰もが務められるわけではない。栗林がどれだけ早く本来の姿を取り戻し、本来いるべき場所に戻るのか。その行方はチームの命運を左右する。

 リーグ戦再開後から8月までは首位・阪神と3カードが予定されており、いずれも週の頭に組まれている。首位浮上へ向けて、ローテーション再編も視野に入る。交流戦で明確になった課題の解決を図りつつ、ペナントレースはいよいよ本格化していく。

関連記事

BACK 1 2
#広島東洋カープ
#新井貴浩
#サンドロ・ファビアン
#エレフリス・モンテロ
#藤井彰人
#栗林良吏

プロ野球の前後の記事

ページトップ