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「ユウキ、君がレッドブルのドライバーだ」角田裕毅が明かす“レッドブル緊急昇格”の胸中「壁を感じたことって、今まで1回もない」《独占インタビュー》
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雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byGetty Images / Red Bull Content Pool
posted2025/06/23 17:02
スペインGP後、イタリアの自宅からNumber「F1特集」のリモート取材に応じた角田裕毅
角田とローソンは昨季後半戦をレッドブルの姉妹チーム、レーシングブルズ(RB)でともに過ごした。同チームはレッドブルに乗るドライバーの育成も目的とした“セカンドチーム”。そこで角田はローソンを上回る成績を残しながら、なぜか選ばれたのはライバルの方だった。
「もちろんがっかりはしました。でも、それは自分にはコントロールできないこと。だからひとつひとつのレースで実力を証明していこうと。自信はあったし、RBでリーダーとなるのも初めての挑戦。いい走りを見せ続ければ、レッドブルだけじゃなくて他のチームからのオファーだってあるわけだから、そこは焦ってなかったですね」
「ユウキ、日本グランプリから君が…」
その言葉通り、RBでトップ5を争うような走りを見せていた角田にすぐにお呼びがかかる。レッドブル首脳陣は不振のローソンにわずか2戦で見切りをつけたのだ。
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シミュレーターに乗るためにレッドブルの本拠があるイギリスのミルトン・キーンズに滞在していた角田は、ホーナーと直接会って伝えられた。
「ユウキ、日本グランプリから君がレッドブル・レーシングのドライバーだ」
レッドブルは昨年まで4年連続世界王者に輝いているマックス・フェルスタッペンを擁し、'22、'23年とコンストラクターズも連覇している。'05年にF1に初参戦した新興チームでありながら、歴代通算勝利数はフェラーリ、マクラーレン、メルセデスに次いで多い“勝てるチーム”。ただし、そこに入ればすぐに勝つだろう、と期待するのは拙速だ。まずはレッドブルのセカンドドライバーが近年繰り返してきた受難の歴史も理解しなければならない。
'19年にピエール・ガスリーが前半戦限りでアレクサンダー・アルボンと交代させられ、そのアルボンや後任のセルジオ・ペレスも最後は大きくパフォーマンスを落とす形でチームを離れた。そして、ローソンはわずか2戦での更迭。フェルスタッペンのスタイルに合わせて研ぎ澄まされたマシンはあまりに過敏で、他の誰にも乗りこなせないのではないかと言われてきた。
うまくいっている部分と予想外の難しさ
暴れる牛をいかに手なずけるか。その術を模索中の角田に現状を尋ねると、「うまくいっている部分と予想していなかった難しさとフィフティフィフティ」と答えた。
「確かにRBのマシンと比べると繊細で、限界をつかみにくいところはあります。最初にステアリングを切った時の挙動が一番違う。新しいタイヤを温める時のアプローチ、レースでのタイヤの持たせ方も違うし、予選でガソリンが軽くなった時にフリー走行と挙動が変わってしまう。コースって平らじゃないんで、でこぼこしてるような高速のコーナーになると予想しにくい動きをするところがあります」
ただ、と付け加えて角田は言った。
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