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「ナゾ采配で巨人クビ、鉄拳制裁も日常的に…」じつは知らない“長嶋茂雄が批判されていた時代”「あのギャグ漫画がイメージを変えた」
text by

高木圭介Keisuke Takagi
photograph bySankei Shimbun
posted2025/06/16 11:05
第1次監督時代は鉄拳制裁も辞さない熱血漢として語られていた長嶋茂雄(当時43歳)
第1次監督時代の長嶋さん(監督就任時は38歳)は、鉄拳制裁も辞さない若き熱血指導者というイメージだった。選手側からの証言でも、熱き鉄拳を見舞われたり、正座させられて説教……などのエピソードも聞く。
長嶋さんが現役時代末期に放送されていたアニメ『侍ジャイアンツ』(73~74年、日本テレビ系列)でも、オープニングでは毎度、主人公の番場蛮を殴り飛ばし、背後のコンクリートの壁ごと破壊してしまう恐るべき制裁シーンが繰り返し再放送されている。
以降も、とくに小中学生がよく目にする漫画の世界に登場する長嶋さんは「燃える男」のイメージを踏襲。主人公・星飛雄馬に永久欠番「3」を譲る『新巨人の星』(梶原一騎作・川崎のぼる画)でもそうだったし、監督解任後に登場した『タイガーマスク二世』(梶原一騎作・宮田淳一画)でも、多摩川グラウンドでタイガーマスクを千本ノックで鍛え上げたりしていた。
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80年代中盤より、鉄拳制裁のアイコンはドラマ『スクール☆ウォーズ』(TBS系列)の滝沢賢治先生(山下真司)へと上書きされていくのだが、ジャイアンツを背負うことになる江川卓、西本聖、山倉和博、篠塚利夫、中畑清、河埜和正、松本匡史、淡口憲治ら若手選手を鍛え抜いた「地獄の伊東キャンプ」なども、この文脈で語り継がれている。
批判の対象だったミスターを変えた漫画
また、この時代の長嶋さんは何かと矢面に立たされることが多かった。就任2年目の40歳にしてリーグ優勝を果たしているが、独特すぎる采配の数々は「勘ピュータ采配」と嘲笑され、ドラフト会議にまつわる江川問題(79年)でも批判が飛び交っていた。
そんな長嶋さんのイメージを変える漫画が登場する。
実は監督就任3年目となる77年から週刊少年ジャンプで連載が始まったギャグ漫画『すすめ‼パイレーツ』(江口寿史作)にて、以降「面白いおじさん」として周知されていく“ミスター史”に変革が起きていた。
〈後編に続く〉




