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「このまま中谷潤人と戦えば井上尚弥が有利」名王者・長谷川穂積が断言…いったいなぜ?「中谷は研究される」「ただ、井上にも“試練”がある」
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/06/13 18:01
井上尚弥とのメガマッチを見据える中谷潤人
中谷潤人の階級アップは「むしろプラス」
いずれにせよ、中谷が派手なボクシングで統一戦を大いに盛り上げ、井上戦への期待を一層膨らませたのは間違いない。井上は中谷の意気込みにすぐさま呼応し、試合が終わるとSNSで「スーパーバンタム級戦線へようこそ こんな強い日本人がいたらワクワクしちゃうよな」と発信して対決の機運を盛り上げた。
世界タイトルをフライ級からスタートさせた中谷は駆け足で階級を上げてきた。バンタム級に上げてからは1年半ほどでの階級アップとなる。それでも長谷川さんは中谷のスーパーバンタム級について「問題なし」と太鼓判を押した。
「もともと体が大きいですし、スーパーバンタム級に上げるのはむしろプラスに働く面が多いかもしれません。減量が楽になれば体力もつきます。スピードやパンチ力のアップも期待できるでしょう。彼はまだ成長盛りという印象を受けます。そういう意味で、中谷選手は非常にいいタイミングで井上選手とのビッグマッチを迎えることができると思います」
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タイミングという意味では、むしろ井上のほうに試練が待っているという。
「中谷選手を迎え撃つ井上選手はこれまでの方針通りなら9月、12月と2試合を予定しています。しかも9月が強敵のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン=WBA暫定王者)で、12月の相手はニック・ボール(英=WBAフェザー級王者)ではなくなったようですが、いずれにしても実力者との対戦になるでしょう。井上選手はこの2試合にただ勝利するだけでなく、来年のことを考えればできるだけノーダメージで終わらせたい。これは決して簡単な話ではありません」

