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長谷川穂積の直言「那須川天心はもう世界戦をしたほうがいい」“パンチ力がない”発言にも独自見解「どちらかといえば僕も同じタイプだった」

posted2025/06/13 18:02

 
長谷川穂積の直言「那須川天心はもう世界戦をしたほうがいい」“パンチ力がない”発言にも独自見解「どちらかといえば僕も同じタイプだった」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

世界前哨戦を制した那須川天心。KOを逃し「ないと思うんですよ、パンチ力が」と率直に語った

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Takuya Sugiyama

 東京・有明コロシアムで行われたバンタム級2団体統一戦には、同級で大きな注目を浴びる元キックボクサーの那須川天心(帝拳)も出場した。「世界前哨戦」と銘打たれた同級10回戦は、WBA同級6位のビクトル・サンティリャン(ドミニカ共和国)に3-0判定勝ち。元3階級制覇王者の長谷川穂積さんが那須川の現在地を語る。(全3回の3回目/#1#2へ)

那須川天心「パンチ力ない」発言に長谷川穂積が見解

 ボクシング7戦目の那須川が初めて迎える技巧派サウスポーとの対戦。サンティリャンは上体が柔らかく、慎重な立ち上がりからも攻略しづらい印象を与えた。それでも那須川はラウンドを一つ一つピックアップし、4回に左目上部をカットするというアクシデントも乗り越え、終盤は接近戦もいとわず判定勝ち。スコアは99-91が2人、100-90が1人と大差だった。

 それでも那須川は試合後「いろいろな課題が見えた。練習でできたことができていない」とかなり悔しそうな表情を見せた。

 長谷川さんは「決して悪くはなかった」と前置きして次のように続けた。

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「接近戦が良くなっていたと感じました。打ち合う自信が明らかについている。今まで以上に自分から仕掛ける姿が目を引きました」

 ホープの宿命というべきか。期待度の大きい那須川が判定勝ちをすると、どうしても「倒せなかった」というマイナスの印象を与えてしまうのは確かだ。本人は試合翌日、「他のボクサーと比べてパンチ力があるとも思えない」と語っていたが、はたしてそうなのだろうか。

「練習では強いパンチが打てていると聞きます。ただ、練習と試合ではグローブの大きさが違う。ヘッドギアのある、ないも大きい。那須川選手は目が良く、ディフェンスに優れていて、常にパンチをもらわないことを考えて戦いますよね。ヘッドギアなしでバーンと打ち切ると、そのあと返されたら怖い。だからひょっとすると試合では思い切り打ち切れず、拳の握りが浅くなるのかもしれません」

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