「これを予想できた人はいないのでは」中谷潤人“サプライズ奇襲”の裏で…元世界王者・飯田覚士が懸念した前日計量のある数値「減量苦のバロメーターか…」 

　しかしながら飯田には、白熱する日本人ボクサーによる統一戦の情勢を読み切れていない感覚があった。というよりは「中谷の減量苦」との自分の読みをどこか疑っていた。一見、中谷の戦い方はラフに、荒々しく映るものの、その効果が明らかに出ていると感じたからにほかならない。

「打たれ強い西田選手が持ちこたえたら、終盤面白くなるなと思った一方で（3、4ラウンドで）西田選手が当てていくパンチ自体、いいタイミングではあっても、若干ながら威力が弱い。中谷選手がバンバン打ってきたものをガードで踏ん張って受け止めてきた影響が少なからずあるんじゃないか、と思いましたね。

　また中谷選手は左ボディー対策として、打てないところに体を持っていくんです。近づいたときに頭をぐっと下げて相手のグローブにつけていくようにして打たせないようにしていました」

ラウンドが進むにつれ、飯田氏は「中谷の減量苦」という自らの見立てに疑いを抱くようになったという　©︎Takuya Sugiyama

本当のサプライズは5ラウンドに

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　不用意なところと、用意周到なところ。

　反撃を食らって減量苦と思わせつつも、ゲームチェンジまでには至っていない現実。起こる事象が線としてつながっていないことに飯田は気づかされる。読めない、読ませない中谷潤人の本当のサプライズは第5ラウンドにあった――。

＜続く＞