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「これを予想できた人はいないのでは」中谷潤人“サプライズ奇襲”の裏で…元世界王者・飯田覚士が懸念した前日計量のある数値「減量苦のバロメーターか…」

posted2025/06/11 17:02

 
「これを予想できた人はいないのでは」中谷潤人“サプライズ奇襲”の裏で…元世界王者・飯田覚士が懸念した前日計量のある数値「減量苦のバロメーターか…」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

日本人世界王者対決となった中谷潤人vs西田凌佑の激闘を元世界王者・飯田覚士が徹底解説した

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Takuya Sugiyama

  6月8日、有明コロシアムで行われた日本人世界王者同士の一戦で、WBCバンタム級王者・中谷潤人がIBF同級王者・西田凌佑に6回TKO勝ちをおさめた。予想を覆す衝撃的な幕開けとなった試合の模様を元WBA世界スーパーフライ級王者の飯田覚士氏が全2回にわたって徹底解説する。<NumberWebボクシング評論/全2回の前編/後編へ>

「思っていたことのはるか上を超えてきた」

 ボクシング解説者はリング上で戦う両者を分析しながらどのような試合になるか、ある程度事前に予想しておくものだ。

「思っていたことのはるか上を超えていきました。いやこれを予想できた人って関係者でもなかなかいないんじゃないですか」

 WOWOW「エキサイトマッチ」の解説を務めるなど海外のボクシングにも精通する元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士氏はそう言って苦笑いを浮かべた。

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 6月8日、東京・有明コロシアムで行なわれたWBC世界バンタム級王者・中谷潤人とIBF同級王者・西田凌佑による無敗チャンプ同士、サウスポー同士の王座統一戦。中谷の「入り方」はまさにサプライズだった。

 いきなりエンジン全開で前に出て、力の入ったパンチをワイルドに振りまくる。ただ飯田が目を丸くしたのは、それを1ラウンドの最初のみならず3分間押し通したこと、そして次のラウンドもまったくテンションを落とさなかったことだ。

「奇襲作戦があるとしたら逆に西田選手のほうだと思っていました。大森将平選手との試合(2020年12月、西田の3-0判定勝利)でやっていましたから。最初、見合った状態でお互いにグッと止まって当たり前にジャブの差し合いで始まるかと思ったら、開始10秒あたりから中谷選手がフック、アッパーとパワーパンチをバンバン打ってくる。これは相手が考えているかもしれない奇襲作戦を抑え込むためなのかなとは思ったんです。だから落ち着いたら、ジャブを突いてといういつものやり方に切り替えるんじゃないかな、と。ところが2ラウンドに入っても変わらない。距離を支配することに長けた西田選手を攻略するために、事前に準備してきたことなんだなとは思いました」

中谷優勢も、西田が反撃

 いきなりのラッシュに西田も面食らったに違いない。とはいえプロキャリアでは中谷の3分の1となる11戦目ながら、対応力の高いインテリジェンスあるボクシングを展開してきたIBF王者は敢えてガードを固めて“暴風雨”に耐え、反撃の機会をうかがった。

【次ページ】 頭によぎった中谷の前日計量での数値

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