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「彼は本当にタフ」ヘッドコーチも脱帽…ラグビーリーグワン決勝 優勝の東芝エースが見せた“骨折したままMVP獲得”の衝撃「痛みはあったけど…」 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byYuki Suenaga

posted2025/06/04 17:01

「彼は本当にタフ」ヘッドコーチも脱帽…ラグビーリーグワン決勝 優勝の東芝エースが見せた“骨折したままMVP獲得”の衝撃「痛みはあったけど…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

実は準決勝の試合後に右手の甲を骨折していたという東芝のリッチー・モウンガ。それでも決勝では東芝の優勝に大きく貢献してみせた

 嬉しいときはみんなで徹底的に喜ぶ。自分はその先頭に立って喜ぶ。それがモウンガのスタイルなのだ。

「ブレイブルーパスとクルセーダーズはチームカルチャーが似ていると感じています。みんな謙虚で、派手なプレーはしないけれど、選手もスタッフも全員が協力し合って、チームの目標に向かってハードワークを重ねる文化がある。このチームが大好きです」

――決勝を戦い終えたときには目が潤んでいましたね。

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「試合が終わった瞬間、すぐにマイケル(リーチ)を探しました。彼の喜んでいる顔を見たかった。彼は本当に兄貴のような存在です。日本に来たときから公私ともすごくお世話になっています。彼からもらったものは、愛と想いやりです。僕だけでなく、ブレイブルーパスの外国人選手全員がものすごくお世話になっている。彼が喜んでいる姿を見られて本当に嬉しい。

 涙は……試合のあとで見せたのは初めてだと思います。ケガのこともあって、今週は全体練習には一度も入れないままで試合に臨むことになった。そういう状況を乗り越えたことの感動があったし、メディカルチームへの感謝もあいまって、感情が出てしまったんです」

 モウンガはそう言って、少し照れくさそうに笑った。

勝ち続けられる「一番の原動力」は?

 パスやキックのスキル。ギャップを突き走り抜けるスピード。判断力とコミュニケーション力……どれをとっても一流なのは周知の事実だ。だがモウンガが優勝請負人であり続けてきた一番の原動力は、どれだけ勝利を重ねても「勝ち慣れ」に陥らず、全力で喜ぶというそのマインドなのだろう。

 5万1009人が詰めかけた決勝のスタジアムは、贔屓を問わず幸せな空気に包まれていた。それは試合のクオリティの高さに加えて、モウンガの「とことん楽しみ、喜ぶ」マインドが伝わっていたような気がする。

 幸福な80分間、そして2024-2025シーズンのファイナルだった。

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