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巨人・田中瑛斗は同期の日本ハム清宮斬りを宣言…20回目の節目を迎える「日本生命セ・パ交流戦」今年のニュースター候補も大胆予想
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byYuki Suenaga
posted2025/06/09 17:00
現役ドラフトで日本ハムから巨人に移籍した田中瑛斗
今年支配下登録された期待の左腕
埋もれていた才能が開花しつつあるのが中日の左腕、三浦瑞樹だ。2022年東北福祉大から育成4位でソフトバンクへ。育成だったが期待感は高く2年目の23年オフには大谷翔平も通うアメリカのトレーニングジム「ドライブライン」に派遣される。自身の投球の軌道や変化量を知って技術向上に役立て、24年は15試合3勝3敗ながら95.2回を投げて防御率1.60でウエスタン・リーグ最優秀防御率に輝いた。また一軍にも昇格し5試合で無失点。
このオフに戦力外通告を受けるも球団は再度育成契約を結ぶ意向だったが、「ホークスに残ってもう一回支配下を勝ち取るのはちょっときついのかなと思ったので。それだったら他の球団でチャレンジするのもありだな」と中日と育成契約。25歳の三浦は一発勝負に出たのだ。
オープン戦で好投し、4月2日に支配下登録され、5月1日の阪神戦に先発、以後、4試合2勝0敗20.1回防御率2.66という成績を挙げている。
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三浦は「度胸で投げる」投手だ。身長は174cmと小柄。左腕から繰り出す速球は140km/hそこそこだが回転数のある球を内角にズバッと投げ込む。変化量の大きいスライダー、チェンジアップ、シュートも効果的だ。
交流戦で、先発としてしっかり投げて、7月にはローテの一角としての信頼を勝ち得たい。
彼も、この交流戦を並々ならぬ意気込みで迎えている。早速、三浦は4日、古巣ソフトバンク戦に先発するも、5回途中4失点で負け投手。現実は甘くない。
「日本全国で盛り上がってほしい」
この会見場でもう一人、強い意気込みで会見に臨んでいる人がいた。2025年度「日本生命セ・パ交流戦」の特別協賛社、日本生命保険相互会社の理事、中尾仁彦業務統括部長だ。
中尾理事業務統括部長は新任、当然、交流戦を担当するのも今回が初めてだ。
「20周年というタイミングで会見に出席させていただき『光栄』の一言です。今回はメディア戦略を強化し、さまざまなところに露出を増やしています。交流戦は全国各地で行われます。日本生命は『地域振興』に力を入れていますので、地方でも話題になればと思っています。また20周年を盛り上げるために、俳優の山田裕貴さんと芸人の飯尾和樹(ずん)さんを起用したCMも制作しました。最近はコロナ禍前を超えるお客様も入っているようですし、日本全国で盛り上がってほしいと思います」
ここまで紹介してきたように、交流戦は「夢をつかもう」とする選手に、大きなチャンスを与えるステージでもある。セ・パ、各チームの勝敗とともに、これから3週間、個々の選手が胸に抱く「可能性のドラマ」についても注目していただきたい。

