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《ソフトバンク交流戦無双に異変》5年刻みの勝率が「.613→.678→.544」に急落…「並みのチーム」になってしまったのか 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/06/03 17:05

《ソフトバンク交流戦無双に異変》5年刻みの勝率が「.613→.678→.544」に急落…「並みのチーム」になってしまったのか<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

交流戦と言えばソフトバンクの強さが際立つ……という印象だが、5年刻みの勝率を見てみると意外な現況が見えてくる

05~09年 セ418勝パ427勝19分
パが勝ち越し .505
10~14年 セ312勝パ377勝31分
パが勝ち越し .546
15~19年 セ236勝パ294勝10分
パが勝ち越し .555
21~24年 セ208勝パ208勝16分
セ・パ五分.500

 当初は僅差でパが勝ち越していたのが、次第に大差で勝ち越すようになった。しかし新型コロナ禍を経た2020年以降、セパの勝敗は五分になっている。これはなぜなのか?

“通算貯金94”…交流戦で強すぎたソフトバンク

 実は、パ・リーグのチームすべてが交流戦で強かったわけではない。

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〈パ6球団の交流戦通算成績〉
ソフトバンク251勝157敗18分 率.615
ロッテ216勝191敗19分 率.531
日本ハム218勝196敗12分 率.527
オリックス214勝201敗11分 率.516
西武203勝212敗11分 率.489
楽天204勝217敗5分 率.485

 ソフトバンクが勝率6割を超える断トツの1位。勝ち越し数は94で、2位のロッテが25、3位の日本ハムが22だから圧倒的な差があり、西武と楽天は負け越している。前述した通り、パ・リーグは1306勝1174敗76分 率.527と大きく勝ち越しているが、ソフトバンクの成績を除くと1055勝1017敗58分 率.509と、辛うじて勝ち越しのレベルにまで落ちる。

 端的に言えば、パ・リーグの圧勝ではなく「ソフトバンクの圧勝」だったのだ。

 交流戦が始まった2005年、福岡ダイエーからソフトバンクに生まれ変わった。交流戦元年は、ソフトバンク元年でもあったのだが――この2005年から24年までの20年間で、ソフトバンクはリーグ優勝7回、日本一も7回、CS出場は実に17回。いわゆるBクラスは2008年(6位)、13年、21年(各4位)の3回しかない。12球団でも最強チームだった。

 この20年間、ソフトバンクの公式戦成績は1553勝1173敗105分、勝率.570。交流戦の勝率よりは劣る。ソフトバンクは「交流戦に圧倒的に強かったから」パ・リーグの覇権を握り続けた、と見るべきなのだろう。

5年刻みの勝率を見ると急低下している

 ソフトバンクは一軍、二軍だけでなく三軍、四軍と12球団で圧倒的な選手層の厚さを誇っている。優秀な選手をどんどん投入できる。それが交流戦に生きたとみることができる。

 交流戦では川﨑宗則(2008年)、杉内俊哉(09年)、内川聖一(11年)、長谷川勇也(13年)、柳田悠岐(15年、17年)、城所龍磨(16年)、松田宣浩(19年)と最多となるのべ8人もMVPを輩出している。こうした選手層の厚さで交流戦で白星を荒稼ぎしたともいえる。

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